警察署長(アメリカTVドラマ)

非常に多忙な友人がいる。映画ファンでもあり、限られた休日の時間を割いては映画を見るのだが、時々「面白い映画はないか」と尋ねられる。そこで以前、どんなのがいいのか聞いたところ、「警察署長」のようなのがいいという。流石にそこまでのレベルはちょっと...と答えるしかなかった。
1983年放映の「警察署長」(全3話)は、同レベルのものを見つけるのが難しいくらい面白い。
その「警察署長」をアマゾンプライムで見つけて再見した。旧ブラウン管サイズの粗い画面に、CMタイム直前のわざとらしいBGMの盛り上がりなど、覚悟していたとは言え、見始めた時はあまりの古さに愕然としたが、すぐ物語に引き込まれていった。

アメリカ南部の架空の町デラノ。第一次大戦後からケネディの時代まで、この街の3代の警察署長たちの物語である。第一話では西部開拓時代の名残りを残す町並みが、やがてビル街に。その間、良くも悪くも変わらない年寄りと、あっという間に大人になって新しい時代を切り開いてゆく子どもたち。その、いかにもアメリカらしく明るく力強い舞台裏では、忌まわしい連続殺人事件が、未解決のまま歴代の署長たちに引き継がれてゆく。

とにかくエピソードの作り方が上手く、昔見たはずなのに引き込まれてしまった。流石に画面がアレなので、若い人にはどうかと思ったが、ネット上の評価もかなり高い。SNSなどで口コミがあったらしい。良い作品は不滅だ、というのもうれしい。

タイトル画像の話 / 椅子

今回のタイトルは椅子である。椅子というと、組織の役職や地位が思い浮かぶ。年齢のせいか、近年は知人の中にも組織のトップなどの地位に就く人が出てきた。いずれも長年その組織に尽くし手腕が認められ、いかにも良い人選だと思う人ばかりだが、同時に中年期に大きな病気をした人が多い。経済が停滞し始めた頃に働き盛りを迎えた世代だけに、無理に無理を重ねた上、高齢になってさらなる重責を担うことになるのだから、現代社会は厳しいものだと思う。

さて、CGは同じものを複製して整列させるというような作業が得意だ。ただし、そうしてできた画像には妙な違和感を感じることがある。例えば椅子を並べる場合、現実の世界ではどれほど精密に並べたつもりどこかずれたり曲がったりするが、それがないCG画面は、人の目には現実味がなく映ってしまうのかもしれない。

そこでなにかが整列している場面では、ごくわずかだけ前後左右にずらしたり、回転させたりすると落ち着いて見えるようになる。逆に無造作に放り出してあるという場面では、妙に作為的だったり整列された場所があるように見える。そこでこれまたひとつずつ微妙にずらしたり、回転させたり、いろいろ手をかけて無作為な感じを演出する。無作為にみせるために作為を尽くすのである。

Blenderでバーチャル名工

古い町並みのCG作品。それなりに仕上がってるようにも見えるが、実際に造形したのはモノクロ画の部分。昔のペーパークラフト画像をそのまま貼り付けただけだ。ここでは貼り付け画像にイラストを使ったが、実際の建物の写真を使ったり、もう少し細部の凹凸を作り込むと、リアルな写真と区別がつかなくなる。こういうことができるのがCGの面白さだ。最新の映画やゲームでも、精密なCGだけでなくこの程度のものも一瞬の背景などに使われていて、演算処理の時間や手間などコスト削減に活躍している。

ところで、ルイ16世はフランス革命期の国王でマリー・アントワネットの夫だが、錠前づくりが趣味だったという。もしかしたら鍛冶屋などモノづくりの才能を持ってたが、国王に生まれてしまった人かもしれない。王様だから錠前づくりでもなんでもやり放題だが、鍛冶屋に生まれていたらギロチンにはかけられなかっただろう。モノづくりには、地位などを超えた魅力があると思う。
日本人にも職人志向、モノづくり志向の人が多いように思うが、そういう職業につける人ばかりではない。大工や機械工になりたかったが事務職や接客業として暮らしている人も多いはずだ。とはいえ王侯貴族ではないので、趣味で大工道具や製造機械、工房を持つのはなかなか難しく、材料費もかかるし作品を置く場所もない。そういう人にはCGはうってつけの趣味だと思う。コンセプトカーの設計や大規模都市計画など、専門家のなかでも任されるのはごく一部の人だろうが、CGならやり放題である。さらに動画にしたり、3Dプリンタで現物化することもできる。
自分はいつもヘボCGを作りながら、こういうシステムが無償で使えることを知らずにいる、隠れた名工や天才がまだまだいるのではないかと気になっている。