陰謀論という言葉がある。世の中の大きな出来事の背後には、悪意を持った国や企業などの院長があるという考え方だ。サスペンスもののようで面白そうだが、少々幼稚で、思考停止したような説ばかりだ。
そこで逆に「世の国家や企業の企ては、ムダや自己の利益追求ばかりしているように見えるが、まだ効果が現れたないか、見えないところで社会に貢献しているかもしれない」と勘ぐって見るほうが、頭を使うし面白い。陰謀論ならぬ、深慮遠謀の遠謀論である。
例えば、トランプ米大統領の一期目のトンデモ政策である、メキシコ国境の壁も、遠謀論では次のように考える。
まず、長大な壁の完成には膨大な費用がかかるが、実際も作ったのは一部だけで、それほどのコストはかかっていない。不法流入者を減らすには、パトロールの強化や警告看板の設置など、今後ともコストをかけ続けなければならないが、壁のコストは一時的なものだ。
さらに一部分でも壁ができれば、アメリカの本気度合いを印象付けることができ、軽々しい気持ちでの不法越境なら、意思を挫くことができる。なので壁は未完成で通行可能な箇所が多くてもかまわない。今後越境者が増えた際に少しずつ延長して見せれば、そのつど越境の意思を挫くことができる...。なかなかいい遠謀論ができた。
ということで、第二期目のトランプ氏の諸施策も遠謀論で語りたかったのだが、少々手に余る感じだ。もともとトランプ氏はTV番組を持っていて人気があったそうだから、いろいろな仕掛けがあって見た目以上の企みがあるかもしれないが、思い至らない。なにか、深慮遠謀があるといいんだがなあ