グラン・トリノ

2009年公開のアメリカ映画。主演、監督、製作、音楽、クリント・イーストウッド。

イーストウッド監督作品の中でも評価の高い作品だけに、心身ともに万全のコンディションで見始めたが、期待は裏切られなかった。例によって大物スターは自分だけ、大掛かりなセットも特撮もなしの 
今では日本車がはびこるデトロイト市の郊外に一人住まいするコワルスキーは、朝鮮戦争から帰国後にフォードの組み立て工をしていたという、古いアメリカ人。人種、性別、異世代への差別意識や偏見に凝り固まり、家族とも疎遠になってしまった偏屈な老人だが、隣に越してきた東南アジアの少数民族の大家族との交流から物語は動き出す。

例によって小さなエピソードを違和感なく積み重ね、観客を心あたたまる時間から、不吉なクライマックスへと引っ張ってゆく。

公開時ですでにイーストウッドも高齢だっただけに、老人の描き方に身につまされたり、考えさせられることも多い。自分も最近は年取ったと感じることが多かったが、まだまだ歳の取り方が足りなかったようだ。70歳をたっぷり超えたら、もう一度観てみよう。

リンゴのグラッセのせフレンチトースト

先日リンゴをいただいた。木のオーナーになっている方で、品種はフジだと思う。同じ方から同じ木のリンゴをいただくようになって、年によって実の大きさや数はかなり違うものだと知った。で、今年はデパートかと思うような大ぶりである。もいだばかりのリンゴは硬い。熟していても強固な感じで、いつまでも日持ちがする。味も日頃口にするものとは違っていて、生命力がたっぷり詰まっているようだ。

だが、家族が少なくなり、大物のリンゴを1個食べきるのにも時間がかかる。茶色くなっていくのが忍びないので、切った分を砂糖で煮てみた。アップルパイの中身である。その場合、リンゴの品種は固くて酸味のある紅玉が定番だが、いただいたフジで作ったものは、火が通ったせいか香りがたって、そのまま食べるのがもったいないような上品さだ。そこで、カスタードクリームと一緒に、フレンチトーストに乗せることにした。

私は、酒は進んで飲む方ではないが、洋菓子はリキュールなどの強い洋酒がビタビタに染み込んだのが好きだ。最近はなかなかそういうのはお目にかからないが、カスタードには梅酒をたっぷり入れた。アプリコット・ジャムをアップルパイに塗るくらいだから、相性はぴったりである。さらにフレンチ・トーストの仕込みは一晩玉子と牛乳につけ置く、帝国ホテル式。たっぷりのグラスフェッド・バターで焼き、さらにカラメルも作って少しふりかけてみた。リンゴの香り、梅酒のピリっとした刺激、カラメルの苦さが相まって、カフェメニューみたいになった。

・・・さすがにうまかった。

きらきら星

バイオリン初心者の練習曲といえば、「きらきら星」と相場が決まってるらしい。いかにも童謡っぽくて、いい年をした大人が魂を傾けて弾くものではないような気がする。こういう選曲では、その後の上達にも影響があるのではないかと思うのだが。
だが、原曲は19世紀のフランスのシャンソンらしいが、オリジナルの歌詞はこんなぐあいだ。擦れっ枯らした大人から見ても、なかなか趣深い。とは言え弾く気にはならないが。

ねえ! 言わせてお母さん 何で私が悩んでいるのかを
優しい目をしたシルヴァンドル そんな彼と出会ってから
私の心はいつもこう言うの

「みんな好きな人なしに生きられるのかな?」

あの日、木立の中で 彼は花束を作ってくれた
花束で私の仕事の杖を飾ってくれた こんなこと言ったの「きれいな金髪だね
君はどんな花よりきれいだよ 僕はどんな恋人より優しいよ」

私は真っ赤になった、悔しいけど ため息ひとつで私の気持ちはばれちゃった
抜け目のないつれなさが 私の弱みに付け込んだの
ああ! お母さん、私踏み外しちゃった
彼の腕に飛び込んじゃった

それまで私の支えは 仕事の杖と犬だけだったのに
恋が私をだめにしようと 犬も杖もどこかにやった
ねえ! 恋が心をくすぐると こんなに甘い気持ちがするんだね!