私はテレビとともに育った世代である.2011年の地デジ移行の際には,いろいろな思い出とともに,ぜひ最期の画面とアナウンスを体験しようと思っていた.そして,停波したらしばらくテレビのない暮らしを味わった後に,ゆっくり買い換えようと考えていた.だが放送は止まらなかった.実はマンションごとケーブルテレビが入っていたため,停波の前から,業者がデジタル信号をアナログに変換して送ってきていたのである.
これには拍子抜けするとともに,いろいろおかしな点も見えてきた.まず,都市部ではビルだけでなく,ビルによって電波が届かなくなる可能性のある周囲の住宅も,たいていケーブル配信されている.遠隔地の集落などはともかく,人口密集地の多くの家庭では,テレビを買い換える必要はなかったのだが,そういうアナウンスはなかった.
地デジ移行とタイミングを同じくしてエコポイント制度が導入された.この制度自体は地デジテレビの普及が目的だから悪いことではないのだが,テレビの価格はエコポイントのメリットを遥かにしのぐほど高騰した.行政,業界がタッグを組んだキャンペーンなのだが,昭和時代じゃあるまいし,いまさらテレビ頼りかと思うと,その芸の無さにぶりに白けてきた.案の定国内のテレビメーカーは一気に衰退し,部門閉鎖や身売りの話が続出するようになった.魅力的な商品を開発できず,お上に頼ったのだから当然かも知れないが.
そんなわけで,アナログ停波の感慨もないまま,ブラウン管テレビでダラダラ視聴を続け,2015年に,ついにケーブル業者のデジアナ変換サービスも終了することになった.その間,テレビが壊れたら買い換えるつもりだったが,因果と古い機械は壊れにくい.そして最期の砦,難関と言われるNHKの契約解除がもめたら,あきらめてテレビを買い換えようと思ったが,これもすんなり受け付けられた.
テレビを見る時間とお金で,バイオリンを演奏する.その生活の変化は,驚くほどだ.ネットではテレビ番組が面白くないとか,ジャーナリズムとしての姿勢がどうとか,盛んに批判されているが,そういう意見を持つ人はテレビを見ている人だ.一介のバイオリニストには,テレビに対する不満など一切ない.むしろ,再び買わざるを得ないほど面白い番組を作ってほしいものだと,期待している.
次回「バイオリンと戦略」(4/22公開予定)
乞うご期待
TVはうるさい。最近は特にCMチャンスが多すぎるし、少し興味を持ってみてもCMで中断されれば興ざめで見たくなくなり、消してしまう事もある。CMも質が落ちていて雑音にしか思えない。バラエティ番組では各局同じ手法で興味を持たれる部分にCMを挟んで番組を引っ張り、ストレスが溜まる一方だ。うるさいTVも、見ていないつもりの僕も、どこかの隙間で見ているのだろうか。
TVは丁度プラズマになった時に大型を4~50万近くしたものを買って家内が自室で今も使っている。もう一台は子供部屋にと貰った液晶画面のものが最近1Fリビングにあるが、毎日朝早く出かけて夜遅く帰る生活にTVを視る時間はないから自然に視なくなった。時々、誰かが点けた天気予報を視る程度だ。それにTVは男の子のゲーム機が接続されていたりする。ソニーのプレステとか言う奴だ。女の子たちはむしろ僕のノートPCをいじったりしている。つまり子供もTVを視なくなったようだ。TV中心に家族団らんのリビングの昔のような光景は無くなっている。新聞も子供たちはクイズと占いを見ているがTV欄などは気にしていない様子だ。