ネットで「なろう小説」という言葉を見かけるようになった。「小説家になろう」という、小説投稿サイトに投稿された小説のことである。小説投稿サイト自体はかなり昔からあったが、存在がマイナーだった上、質的にも貧弱で、素人ポルノ小説が多かったように思う。それらがいつのまにかれっきとした創作発表の場に成長していて、その代表が「小説家になろう」だったのだ。
かつて小説家は、志望してはいけない職業の筆頭だった。小説家になろうと思ったら、出版社に原稿を持ち込むか送るか、コンテストに応募するしかなかった。「小説家になろう」では、個人が無料で作品を公開でき、閲覧数や人気投票などの総合評価でランクづけされる。投稿者は社会人も多いようで、時折「仕事が忙しくて投稿が遅れた」というような短信がついてたりする。個人生活を犠牲にすることなく、才能のある個人が力試しができる実に合理的な仕組みだ。
このサイトへの投稿が小説として出版されただけでなく、マンガ化、アニメ化までされた作品も、すでに相当な数に上っている。出版社にとっても、読者の評価の高い作品を選んで交渉をすればよく、作家を勘で選ぶリスクは少ない。ウィンウィンである。小説以外にも詩や評論などの投稿もあるようだが、ファンタジーの連載小説が圧倒的に多い。「なろう小説」という言葉には、大量の二番煎じのファンタジー作品を揶揄するニュアンスもあるようだ。
ところで、すでに無料公開された作品を出版するというのは、ちょっと不思議な感じがするが、買う人はかなりいるらしい。出版時には表紙や挿絵にかなり凝ったイラストが入るので、付加価値もついているのだが、マニアは1冊は読書用、もう一冊をコレクション用にするのだそうだ。出版社にとっては夢のような話だ。また、表紙イラストやマンカ化の作者も、どこかにイラストやマンガの投稿サイトがあり、そこから新しい作者が生まれているようだ。
能力のある人が生活に支障を来さない範囲で力を発揮し、直接社会から評価を得て、さらにに大きな仕事をする。この仕組みは、小説家だけでなく、他のジャンルでも隠れた才能を世に出す役に立つのではないだろうか。例えば社会問題について持論を発表し、それに対するコメントと丁丁発止で論戦をする「政治家になろう」もいいかも。
既に、そのような小説投稿専門サイトが有るんですね。創作興味のある人たち全員に開かれた門戸はネットだから可能と言える利点ですね。内容次第ですが、連載小説であれば継続読者も現れる可能性もありますね。ネット上で話題になれば、さらに読者も増えるでしょうね。
よく若い人がスマホでみてるのも、そういうサイトらしいですよ。