2018年日本公開の、実話に基づいたミステリー映画。アメリカの僻地、極寒の先住民族居留地で起こった殺人事件を、地元のベテランハンターとフロリダから呼ばれた女性FBI捜査官が追う。どのシーンも無駄なくサスペンスでハードボイルド、軽薄でない、重量級のかっこよさが満ち満ちている。
極寒の冬は、どんなに明るく晴れ渡っていても、すぐ身近に死の危険がある過酷な世界だ。この絵になりにくく、暖かい地方の人には理解してもらいにくいことを、映画は冒頭から突きつけてくる。それだけで、北海道民の心を鷲掴みである。
主人公を演じるジェレミー・レナーが渋いのは言うまでもないが、ヒロインのエリザベス・オルセンも良かった。作品のシリアスさにちょっと不似合いな、愛嬌のある美女という雰囲気だったが、抑えた演技で、最期はしっかりタフなところを見せてくれた。
少数民族の、しかも女性の置かれた環境、閉鎖的な地域社会に内在する闇など、社会的なテーマもきっちり描いているだけに、そこに目を奪われがちだが、シャープなアクションやリアルでクールに描かれた大自然、そしてとにかく重くかっこいいセリフなど、エンターテインメント性も抜群である。
監督・脚本のテイラー・シェリダンは、なんとこれが初メガホン。名前を覚えておいて、次回作にも期待せざるを得ない。