中国からバイオリンのアクセサリーを買った。値段は300円ほどで、送料無料。混載コンテナの空きスペースを利用すれば、ただ同然で国際輸送ができることは知っていたが、こうまで安いと、どこから利益が出てくるのか不思議になってくる。そこでこの際、長らく宿題になっていた、名著「コンテナ物語」を読むことにした。
工場など、出荷地点で貨物を金属の箱に積み込み、列車やトラックで運んで、箱ごと貨物船に搭載する。その発想自体は古くからあったらしいが、将来性が見通せなかったり、妨害があったりで、本格的に実用可動したのは1950年代だった。それまでは、港に着いたトラックと船の間で、人力で荷物をプレートに積んで船のクレーンで持ち上げ、積み下ろしを行っていた。また、遅れた貨物の到着を待って、先に来た荷物が何日も野ざらしで放置されたり、港湾労働者に盗まれたりしていたという。
当時、ニューヨークは世界最大の貿易港で、港には荒っぽい港湾労働者が組合を作って、新規参入や機械化に抵抗していた。ニューヨーク市もコンテナの将来性を軽く見て、必要な設備投資を怠ったため、しだいに対岸のニュージャージー州が貨物輸送の主役になっていた。
現在の港湾では、トラックはコンテナをその場に置いてすぐ次のコンテナを積んで出て行き、コンテナは貨物船をまたぐブリッジ型の大型クレーンで船倉に積み込まれていく。この間に必要な人員はほんの数名で、コンテナの中身や目的地、到着時間などすべての情報がネットワークで追跡され、クレーンの操作までが自動化されている。
港に到着したコンテナはトラックや貨物列車で目的地に運ばれるが、日本などの先進国では、港のクレーンはもちろん、ガード下やトンネルなどが、すべてコンテナトラックが通過できるサイズに修復されている。
また、コンテナ輸送はベトナム戦争でその効率性が評価された。コンテナ業者は米軍から復路に空のコンテナを積んで帰れるだけの金額を提供されていたが、さらに有効利用するまて、日本に立ち寄って様々な商品を持ち帰った。その莫大な輸出用の物流力が、日本の輸出を支えたという。
現在、コンテナ輸送の世界的なネットワークにより、原料や製品の海外輸送コストは、生産コストの中で無視しても構わないほどまでに小さくなった。原料の調達や部品の製造、組み立て、販売を、それぞれ別な国にするのも当たり前のことになった。一方、この国際間の輸送コストの削減は、生産活動の拠点をどんどん人件費の低い国にシフトさせた。その結果、もはや先進国に、大型の好況は起こりえない時代になったとも言われる。
会社契約でヤマトの宅配便をよく使いますが、釧路や北見や帯広に、雪害や交通障害が無い限り午後6時半までに持ち込めば、翌日朝に到着するのには驚きますね。それも余程大きな荷物でもない限り400円程度ですからね。しかもオフイスに集荷などお願いしても同じですから物流の仕組みは不思議です。目的地までトラックが行っていては空便で戻る結果非効率ですから、中間地点か、何カ所かで荷物の積み替えでもするんでしょうかね。
一点ごとに伝票のバーコードで管理して、全体を把握しているコンピュータが、無駄な走りや貨物スペースの余白が最小限になるように調整して、どこへいけという指示を自動的に出してるんでしょうね。天気の情報や渋滞の発生なども管理してるでしょう。例えば配送車のGPSのデータで幹線道路上で走行速度が遅ければ渋滞と判断し、過去の走行データと突き合わせて迂回路の指示を出す、程度のことなら人間がいなくてもできるような気がします。
メイドイン・ジャパンの出番も少なくなってきたわけですか。後進国と言われていた国々が栄えて逆転現象が起きている訳ですね。少し前には「中国は日本に比べて20年遅れている」と言っていましたが、今や宇宙でもITでも世界を席巻するまでに急成長していますね。東南アジアで生産する衣類や車や電化製品は今や当たり前の時代ですね。まだ日本で健在なのはインバウンドで訪れる爆買いで見られる、薬局あたりで売っているクスリをはじめとする関連商品だけかも知れませんね。それにしても海外から取り寄せて300円でとは?日本ではありえませんね。
こういう時代ですから輸入も面白いです。以前ガーナから太鼓を買った際には、4千円の楽器に航空送料が1万円かかりましたが、千歳の税関で足止めされ、自分で通関手続きをしました。その費用は関税0円、保税倉庫料が400円だったと思います。もし通関業者に依頼し、自宅まで運んでもらっていたらさらに1万円以上かかったところでした。これは6万円で売れましたが、日本への輸送も船便ならもっと安かったので、国内の分が一番高くついたことになります。