アカデミー監督、作品、美術、音楽の4賞を獲得した、ギレルモ・デル・トロ監督作品。多くの映画ファンにトラウマを残した同監督の「パンズ・ラビリンス」でさえR12だったのが、今回はR15とあって、途中で叫んだり飛び上がったりしないよう、心に強く言い聞かせながら見に行ったが、その心配はなかった。
作品はコメディに近いタッチで描かれた、大人の童話という感じなので、うんと奇抜なものを期待していくと肩透かしかもしれない。ただし、オーソドックスなラブストーリーでありながら、ハリウッドのお約束を微妙に外しながら話が進むので、次に何が起きるかわからないワクワク感がある。その辺がメキシコ人ならではの感覚なのだろう。この監督でなければ見ることのできない映像が随所にある一方、ラ・ラ・ランドかなと思うような演出もあった。これは最近の流行りなのだろうか。エンドロールはごくシンプルな黒地に白文字が流れるだけなのだが、個人的には近年の映画でピカイチと感じた音楽が流れ続けたので、明かりがつくまでゆったりした気分で座っていられた。

クラシックに比べてジャズは自由でいいですね。それぞれのパートが見せ場を作れるし個人の技量を十二分に発揮できますね。ジャズも本来はもっと自由だったのでしょうね。かつては黒人たちが酒場や広場に集まれば自然発生的にリズムが刻まれ、音楽で意思疎通を図るのでしょうね。
しばらく映画も観に行っていませんが、BSで先日「セッション」を観ました。ジャズバンドのドラマーの若者が挫折しながらも最後にカーネギーで脚光を浴びるかと安心して居たら、皆と違う楽譜を渡されて、また、厳しい目の聴衆の面前で恥をかかされて、どん底に落ちそうになったところで、ステージに戻り、自力で這い上がるエンディングでした。
ある日、常時割引料金なのに気がついて、それからたまに行きます。50代の知人がうらやましがるので、ちょっといい気分ですし。「セッション」は理不尽な内容にもかかわらず、音楽はいいなとか、昔もう少し真面目にやってれば、とか考えさせられました。