横山光輝作の漫画「ジャイアントロボ」が,1992年から全7巻のアニメになった.内容は三国志や水滸伝,鉄人28号,魔法使いサリー,仮面の忍者赤影など,横山作品オールスター総登場のオリジナル・ストーリーで,原作とは関係がないという怪作である.
92年と言えばバブル崩壊に片足を突っ込んだ時期.BGMをフル・オーケストラに演奏させるという,バブルな計画が進んでいたこのアニメも,先行きが怪しくなってきた.国内でオーケストラを使うと莫大な費用がかかる.そこで,ポーランドのワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団に打診したのである.
ポーランドは1989年にソ連邦から離れたが,市場経済の道は厳しく,それまで国策として手厚い支援を受けてきた交響楽団も,経営が厳しくなっていた.そこへ日本からのオファーである.日本のアニメなど,今ほど有名ではなかった時代だから,内容はよく分かってなかったとしても不思議はない.
制作側からすれば,バブル崩壊したとは言え,東欧の物価は桁違いに安い.彼のショパンの国の,国立フィルハーモニーという敷居の高さを乗り越えてみれば,両思いみたいなものだった.
「ジャイアント・ロボ TheAnimation-地球が静止する日」メインテーマ
MIDIでも構わないようなアニメのBGMにフル・オーケストラなど,前代未聞だったが,さすがに本物はすごかった.ロボットが取っ組み合いをしているだけなのに,感涙がこみ上げてきそうになるのである.
作品はその後,6年の年月をかけて全7巻で完結した.世の中がじわじわと「失われた20年」に進んでいく中で,なんとかクオリティを下げずに作り続けたため,超スローテンポになってしまった.ワルシャワ・フィルは,この作品を機に日本との縁が出来上がり,今でも,アニメやゲーム,テレビドラマなどに,ちょくちょく登場している.
この作品はTVにも映画にもならず、ディスクだけでの販売でした。確かレーザーディスクの時代だったと思います。アニメファンも今ほど確立されておらず、映画ファンの一部が買っていたような気がします。グッズ販売もなかったようですし。こんな初めから採算が取れないのが分かってるようなものに金を注ぎ込んだのが、バブルのすごかったところですね。
子供の頃は,鉄人28号を少年マンガ雑誌で見ていました。TVアニメは成人してからですが,懐かしいですね。それにしても本格的なワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の演奏付きなんて?それだけでも価値が高いですね。当時から日本のアニメに評価が高かったのでしょうか。バブル期には発想も豪華だったんですね。崩壊後も完結させたところに感心しました。