パクチーが嫌いだ。生涯に数回した口にしたことがなく、そのどれもが食べた時のシチュエーションまで覚えているほどだ。年をとるにつれて味覚も変わってきたが、パクチーだけは未だにだめである。この味が好きだという人が、どうして我慢できるのかわからないくらいだが、この違いは遺伝子レベルのものだそうだ。
パクチー嫌いの科学的な説明をそのまま書くと、「人間が持つ嗅覚受容体遺伝子のひとつ『OR6A2』に突然変異を持っているため、不飽和アルデヒドに感受性があり、パクチーが好きな人が感じる爽やかな風味の芳香化学物質を嗅ぎ分けることができず、カメムシ臭や石鹸臭、辛味を感じてしまう」ということらしい。その比率は約15%だそうだ。
つまり他の人はパクチーに、全く違う味を感じているのだという。それで納得した。パクチー忌避派にとっては、見た目や匂いでは他の葉物と区別がつかず、口に入れるまではほとんど気にならないものだけに、不意打ちダメージがきつい。少数派だそうだから強くは言えないが、飲食業などではパクチー忌避派は遺伝子レベルということが、周知されなければまずいと思う。でないと初めて口にした客と、大喧嘩になるかもしれない。