ビオラを手に入れてから,初心に帰って主にスケール練習をしている.手に入れたのは標準よりやや小さめなサイズなのだが,それでもバイオリンに比べれば全体的に大振りである.4本の弦のうち,3本まで弦の音程がバイオリンと共通なので,それほど差はないと思っていたが,全体的に弦がぐっと太くなった.指板からの高さもずっと高く張ってあるので,押さえる時の反発が強い.バイオリンの一番細い弦などは,指を乗せただけで押さえられてしまいそうだが,ビオラの場合はぐいっと押し込まないと,きちんと押さえられない.弓のあて具合も,バイオリンだと弦に乗せただけで音が出るが,ビオラは少し力が要る.もちろん楽器の良し悪しも関係あるだろうが.
そんな具合だから,スケールもなかなか綺麗に弾けないが,不思議と苦にならない.遊びたくなったら別にバイオリンがあるせいか,のんびり練習している.ときおりきちんと安定した音階が出ると天下をとったような気分だ.また,激安バイオリンや中古と違う,どことなく漆器を思わせるような,それらしいニスの香りがいい.
ところで,バイオリンやビオラには肩当てという付属品がある.歴史はそれほど古いものではないらしく,素材も形状もまちまちだ.バイオリンに穴や傷をつけず,不規則な奏者の肩の形に合うようにするということで,なんだか無理に無理を重ねたような形をしている.
最初は装着法がよくわからず悪戦苦闘したが,慣れてからも,うまく支えられているかどうか,いつまでも納得の行かない道具だった.特に,楽器を構えるまでで,一番手間取るのがこの肩当ての装着だ.これをつけなくていいなら,ちょっと時間が空いたので5分ほど弾いてみようか,という気にもなるのだが.
それがビオラの時にはピタッとおさまって,しっかり楽器を支えてくれる.楽器と一体化して,いつも同じ角度,同じ方向に楽器をセットしてくれる.まさに道具は使いようなのだが,だからと言ってバイオリンだとちょっと邪魔くさいことに変わりない.相性なのだろう.
次回「オーケストラ!」(9/12)公開予定
乞うご期待!