マムゼル(Mam’selle)とはマドモアゼルのこと。作曲は、Edmund Goulding (1891-1959)、映画「グランドホテル」の監督として映画史に名を残す、名監督でもある。この映画の影響を受けて、「グランドホテル形式」と呼ばれる、多くの映画が生まれた。
特定の主人公がいるというよりは、偶然一箇所に集まることになった人々が、それぞれの隠された事情に突き動かされて人生模様を描いていく。私がこの言葉を初めて知ったのは、映画「タワーリング・インフェルノ」の解説だ。その後も、空港や客船など、舞台を変えてグランドホテル形式の映画、多くはパニック映画が製作された。
マムゼルの曲自体は、かろうじてああこれかと思い出す程度だが、美しく聞きやすい、これぞポピュラー・ミュージックというメロディで、今聞いても古さを感じない。
演奏のBeegie Adiarは、以前もAs Time Goes Byで登場した、80歳のジャズピアニスト。一体何回同じ曲を弾いたのだろうと思わせるほど安心感のある演奏である。また、年齢のせいか、古い曲も自然に取り上げているので、パブリック・ドメインの名曲揃いなのも嬉しい。