画面やリズムにあわせて操作する、いわゆるリズムゲームをすると、高齢者の短期記憶能力が向上するのだそうだ。そりゃそうだろうと思う。
海外の、ジャズなどのポピュラー系の楽器指導動画には、音程よりまずはリズムを重視するようにという指導者がいる。リズムに乗るというのは大変な作業で、前の音と次の音を聞き、その「間隔」を記憶して、次の音が来るタイミングのちょっと前に予備動作を始めてジャストタイミングで楽器を鳴らさなければならない。伴奏を聞いてからでは遅く、鳴らしたらすぐ次の音、次の次の音を想定して構える。それを1秒の間に何回か繰り替えすのを数分間続ける。言葉で書くと離れ技のようにも思えるが、そこは人間が本来持っている摩訶不思議な力が発揮されるので、練習すればそれなりにできるようになる。
リズムに乗れるようになるためには、やはり伴奏動画に合わせて練習するのが一番のようだ。音程中心で指使いなどを覚える練習ばかりしていると、伴奏に合わせた当初は合わなくていやになる。が、追い立てられながら必死で弾いているほうが、摩訶不思議な力が発揮されやすいらしく、上達が早いようだ。そして、伴奏の流れを待ち構えて、ジャストタイミングでビシビシ音を出せたときの気分の良さは格別だ。短期記憶力どころか、生きる活力そのものが湧き上がってくるような気さえする。