先日リンゴをいただいた。木のオーナーになっている方で、品種はフジだと思う。同じ方から同じ木のリンゴをいただくようになって、年によって実の大きさや数はかなり違うものだと知った。で、今年はデパートかと思うような大ぶりである。もいだばかりのリンゴは硬い。熟していても強固な感じで、いつまでも日持ちがする。味も日頃口にするものとは違っていて、生命力がたっぷり詰まっているようだ。
だが、家族が少なくなり、大物のリンゴを1個食べきるのにも時間がかかる。茶色くなっていくのが忍びないので、切った分を砂糖で煮てみた。アップルパイの中身である。その場合、リンゴの品種は固くて酸味のある紅玉が定番だが、いただいたフジで作ったものは、火が通ったせいか香りがたって、そのまま食べるのがもったいないような上品さだ。そこで、カスタードクリームと一緒に、フレンチトーストに乗せることにした。
私は、酒は進んで飲む方ではないが、洋菓子はリキュールなどの強い洋酒がビタビタに染み込んだのが好きだ。最近はなかなかそういうのはお目にかからないが、カスタードには梅酒をたっぷり入れた。アプリコット・ジャムをアップルパイに塗るくらいだから、相性はぴったりである。さらにフレンチ・トーストの仕込みは一晩玉子と牛乳につけ置く、帝国ホテル式。たっぷりのグラスフェッド・バターで焼き、さらにカラメルも作って少しふりかけてみた。リンゴの香り、梅酒のピリっとした刺激、カラメルの苦さが相まって、カフェメニューみたいになった。
・・・さすがにうまかった。
差し上げた余市のリンゴを、それだけ大切に扱って調理していただくと、かえってありがたく思いますね。我が家では、一個づつ新聞紙に包んでビニール袋で密閉して寒いガレージに保存し時折一個づつ剥いてそのまま頂いてもいますが、傷ものや小ぶりなものは、毎年パイ生地を買って来てアップルパイを作り保存し、いつまでも食しています。品種は『昂林』(こうりん)別名を『早生富士』(わせふじ)と言うらしいです。元々は福島県で発見された『ふじ』の交雑種または変異種だそうです。甘味と酸味のバランスが良い品種との事です。今年は豊作で味も最高でした。
その節はありがとうございます。やはりお菓子にもしていたんですね。1本の木から相当数が取れるようですが、ご家庭で生で食べた残りを配るというのでは、まるでサンタクロースみたいなものだなと思っていました。買ったものは数日でボケはじめるのに、いただいたものは、何日たってもびくともしません。いつも不思議です。