主演はスコーピオン・キングのドウェイン・ジョンソン。キャプテン・アメリカのクリス・エバンス演じる、少々性根の腐った小悪党ハッカーと凸凹コンビで、さらわれたサンタクロースを救出する物語。クリスマスにふさわしい、賑やかでハートウォーミングなファンタジック・アクション・コメディだ。
サンタクロースを演じるのは「セッション」のJ.K.シモンズ。陽気で包容力に富んだというステレオタイプではない、パワーと叡智を兼ね備えた現代のビジネスリーダーのようなサンタを演じる。セリフが良く練られていて、現場のトップを長く続けてきた人間ならではの、含蓄に富んだやり取りが印象的だ。サンタの拠点では、魔法とテクノロジーが融合した一大システムが、一晩のうちに世界中の子供にプレゼントを配るという、「困難な物流の課題」を解決している。大人が観てもニヤっとするようなくすぐりが随所に仕込まれていて楽しい。
悪い子を罰したり連れ去ると言われる、クランプスやグリラなど、クリスマスに関わる古いヨーロッパの伝説たちも登場。息もつかせぬアクションを通じて、主人公たちは失われつつあった仕事への情熱や、親子の絆までをもとりもどす。きれいにまとまったハッピーエンドが心地よい、ハリウッドならではの快作だ。
アメリカ映画は決まってハッピーエンドが定番でしたが、最近では違う展開のものも出て来ましたね。しかし、最終的にはハッピーに終わらなければ後味が悪い訳ですから、特にクリスマスなどをテーマにして居れば尚更の事でしょうね。親子で鑑賞する事も考えれば当然ですね。最近の日本の子供は戦闘ゲームに慣れているのか残虐シーンでも平気な事が気になりますね。ゾンビが話題になった頃に息子に連れられて映画館に行ったのですが、気味が悪いと廊下に退散したのは私で、息子はジッと観ていて帰ろうとはしませんでした。13日の金曜日なども意外な展開続きで、昭和生まれに私には、やはりハッピーエンドがいいですね。
ハッピーエンドを描くのは難しく、良質のコメディを書けるライターは非常にステータスが高いです。この作品も、「仕事の意味を見失うこともあるが、答えはその仕事の中にかならずある」などと真っ当に語っても「ブラックかよ」と思われるし、「親子の絆は何にも代えがたく、いつでも取り戻すことができる」と言えば「宗教かよ」と思われてたでしょう。エピソードをつなげて、へそ曲がりな観客をそういうハッピーな結論まで導くのですから、並々ならぬシナリオの練り込みが必要だと思います。まともすぎて大人が正面切って言いにくいことを代わりに語ってくれるのも、ファミリー向け映画の良さですね。