伊福部昭

今日は作曲家の伊福部昭の、生誕100周年の誕生日。親戚にあたるのだが、直接会ったことがあるのは父母までで、私はない。Googleのトップページで紹介されるまで、100周年とは知らなかった。ほぼ独学で作曲した作品が、いきなり海外の大きな音楽賞をとったことで、音楽界にはあんなものは認めないという人も多かったらしい。また、実の母親からも「河原乞食のような仕事」といわれてた時期もあったと聞いている。ゴジラや座頭市の映画音楽の作曲家として有名というより、親戚としてはやや気の毒な境遇にある人という感じでもあった。レコード全集が出たときも、両親が「せめて親戚ぐらいは買ってあげよう」と言ってたのを覚えている。

人となりは知らないが、かなりの反骨精神の持ち主だったのだと思う。音楽には何より自由な創造性が求められ、常識を破壊するところから始まるとさえ言われるが、昔の音楽界は徒弟制度のようなものだったらしい。そんな時代に師匠を持たない人間が海外の音楽賞をとってしまったのだから、敵も多かった。本人も邪道扱いされて思うところがあったのか、後に、交響曲の作曲法を記した「管絃楽法」を執筆した。当時は世界的に見てもオーケストラの作曲技法を記した本は珍しく、クラシックからシンガソングライターまで、作曲に携わる人は必ず持っている。
ただしこの管絃楽法だが、「曲の作り方」を書いてしまっては作曲者の創造性を損ねてしまうだけに、作曲のノウハウ本ではない。いわゆる和音を出さなくても、楽器それぞれの音響特性が違うのだから、全楽器が同じ音を出しても、そこには「ハーモニー」が生まれるという考え方で、主に楽器の音響特性などが説明されている。農学部出身だけに理工学的なアプローチと言えるかもしれない。ちなみに大甥の伊福部達氏は音響工学の専門家で、緊急地震速報の音の製作者。ゴジラの声も素材に使ってるとか使ってないとか。

4 thoughts on “伊福部昭

  • 6月 3, 2021 at 11:14
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    私の場合は?、独学どころかすべてが「我流」ですから。取説もろくに読まずにいきなり始めるので困ったものです。ところで作曲のノウハウなんて独学で学べるんですかね。今ならネットで何とか出来るかも知れませんが。

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    • 6月 3, 2021 at 11:28
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      作曲については独学けっこういるようですよ。クラシックはわかりませんが、ジャズのアドリブはソロ部分を作曲しているようなものですが、ほんとんど見様見真似の独学ですからね。特にビートルズやロックが登場してからは、素人が自分で作曲や演奏をして、スターになるのもあり得る時代になったんだと思います。

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  • 6月 2, 2021 at 11:38
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    凄い方が親戚なんですね。北大にしても音楽にしてもヴァイオリンの独学にしても何だかまるでそっくり血を引いているみたいですね。北海道に、こんな偉大な作曲家が。知りませんでした。

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