6月17日、アメリカのイージス艦とコンテナ船が衝突。このため、映画「バトルシップ」のTV放映が中止になった。(この記事参照)その後、9月に放映されることになった矢先の8月21日、今度はマラッカ海峡でアメリカ駆逐艦「ジョン・S・マッケイン」がタンカーと衝突事故を起こし、今回も犠牲者が出た。
さて、これはどういうことだろうか?戦艦とは言え貨物船が衝突すれば、犠牲者が出るほどの被害を受けることは前回で分かった。2度めというのが、偶然だけではなく何らかの原因があるとすれば、米海軍の士気が下がったり、訓練不足の兵士が乗船しているのか。そうだとしても操船だけはベテランが担当するだろうから、原因としては考えにくい。では、アジアの情勢が不安定になる中で、イレギュラーで無理のある行動をとっているのだろうか。だとしても、6月に事故を起こしたばかりで、立て続けというのはないと信じたい。
では、民間船側に原因があるとすれば、テロだろうか。これも考えにくいことではあるが、もちろんアメリカはその可能性も真っ先に検討しているだろう。それまで通常の業務をこなしていた、互いに無関係なはずの2隻の乗組員がすべてテロリストに入れ替わるというのも考えにくい。が、マラッカ海峡といえば、海賊の名所だ。海賊と言っても海賊保険のようなものもあるだろうし、乗組員が命をかけて抵抗する必要はない。船主と海賊の、金銭の交渉だけなので、乗組員はあっさり「海賊」を乗船させてしまうかもしれない。
船籍も目的地もはっきりしている民間船が、多少不自然に近づいてきただけで、ミサイルをぶっ放すわけにはいかないだろう。が、それまで互いに手でも振ってればよかったのに、民間船が見えたら米軍は射撃準備くらいはするかもしれないし、民間船も心中穏やかではなくなるだろう。
ちなみに映画のほうは、なんとなく不穏な空気を吹き飛ばしてくれる、痛快娯楽作品である。
海賊と言えば,2014年のアカデミー賞にもノミネートされた映画『キャプテン・フィリップス』。米国の貨物船マースク・アラバマ号がソマリアの海賊に襲撃された2009年の事件の映画化ですが,フィリップス船長の手記を元にした映画で、船長が単身海賊の人質となってから海軍特殊部隊に救出されるまでを描いていますね。海賊が跋扈する無法海域,地中海からスエズ運河を通り、紅海を抜けると、アラビア半島南岸とアフリカ大陸との間にアデン湾が広がるのですが,このアデン湾は年間およそ3万隻の商船が通過する海運の要衝だそうです。しかし1990年代後半以降、海運の大きな脅威となっているもの,ソマリアの海賊です。2008年には111件の襲撃があり、うち42件で乗っ取りが成功。2010年も少なくとも35隻の船を奪い、650人以上の人質を取っているそうです。海賊は乗っ取った船を自分たちの「母船」とし、そこから高速の小型船を使って商船を襲撃するのです。海賊行為は彼らにとってビッグビジネスなのです。たいていの場合は身代金が支払われるので、海賊はその金で贅沢な生活を送っています。1日の平均収入が2ドル足らずという世界有数の貧困国ソマリアでは、なかなか味わえない贅沢なのだそうです。2009年4月8日、フィリップス船長ほか20人が乗った米国船籍のコンテナ船、マースク・アラバマ号はジブチからケニアに向かう3400キロの航海の途上にあって,1万7000トンの貨物(うち5000トンはソマリア、ウガンダ、ケニア向け救援物資)を積んだアラバマ号は、ソマリアのエイル港の南東440キロを航行していました。その週はすでに5隻の船が海賊に襲われていましたたが、アラバマ号はまもなくこの最も危険な水域から抜け出るところを襲われたのでした。つい最近ですが,BSの映画で見ました。日本海も最近はアブナイ海域ですね。ミサイルが落ちますからね。
キャプテン・フィリップスですか。これは近いうちに見たいですね。私が初めてインターネットに接続した頃は、固いサイトしかなかったですが、その中に海賊対策の国際会議のサイトがありました。海賊を鎮圧しても、武装解除させないと同じことの繰り返しになると言うことで、豊臣秀吉の業績が評価されていました。「刀狩り」ですね。天下統一の後、地方にいる小規模な武装集団をひとつひとつ説得して回り、武装解除に応じさせたらしいです。
マラッカ海峡と、そこを通る船舶をリアルタイムで表示してくれるマップ。
https://www.marinetraffic.com/jp/ais/home/centerx:102.9/centery:-3.5/zoom:5
大変な混みようである。事故が起きても不思議がないとも言えるし、突っ込んでこられても避けられない、とも言える。