「思い込んだら試練の道を..」という某アニメの影響か、いざというときは特訓というのが、我々世代の頭に染み込んでいる。そのせいか、後年の国民的アニメで主人公が、ピンチの際に力んだだけでスーパーなんちゃら人に進化したのには軽く失望したのを覚えている。特訓なきヒーローなどとうてい納得できなかったのだ。どっちにせよアニメの話だが。
社会人になって、仕事のスキルを身に着けようと思ったとき、特訓しようと考えた。そこで書店の新書の棚の前に立ち、テーマを選べないよう目をつぶって1冊抜き取り、1日で読み切るということ毎日続けたのだが、これは辛かった。大抵の本は一生縁がないようなジャンルのものなので、ちっとも頭に入らず、1行読んでは3行戻って読み返すような具合だったが、金がもったいなくてギブアップもできない。すらすらと頭に入る内容は先入観を後押ししてただけなので大した役に立たなかったが、3行戻りの苦行で得た知識は、後年なにかの折に思い出して役に立つことがあった。
ということで、バイオリンの練習についても、今年は特訓を計画していた。自宅だと10分も弾くとくたびれてやめてしまうので、カラオケで時間いっぱいやらざるを得ないようにしようと考えたのである。が、これは自粛せざるを得なくなった。なので来年ワクチンを打ったあかつきには、ぜひ再チャレンジするつもりだ。また、国の指定文化財である札幌豊平館のレンタルルームが1時間500円で使え、楽器練習にもどうぞとあるのを発見した。カラオケの次のステップはこれに決まった。ちなみに下手くそでも文化財への冒涜にならないか問い合わせてみたところ、OKと言って笑われた。
カラオケは今のところ行くのを止めています。でもカラオケ店の前を通ると駐車場に車が数台停めてあるところを見ると客が居るようです。私の場合はギターは自宅で少しだけ、トランペットは大型スーパーの屋外大駐車場の端っこにクルマを停めて締め切ったままの練習です。聞き手は烏ですね。ところで豊平館で練習ですか。文化財で練習とは、ちょっと贅沢ですね。でもヴァイオリンなら似合いそうですね。
豊平館はかなり本気ですよ。いくつになっても晴れ舞台があってもいいと思うので。でも選ばれてどうこうだの、人様に聞いていただこうだのはおこがましいので、お金払えば誰も借りられるちょっと晴れがましい場所ということで。その次のステップは、ご馳走と耳栓を用意して、知り合いの皆さんを小宴会場かなにかに招くという、落語の大家さんの義太夫方式ですね。