モチーフや画調などに関した単語を入力するだけで、人工知能が自動的に画像を作ってくれる「画像生成AI」が話題を呼んでいる。特に今年の夏ころからは検索数も激増している。
イメージに合った画像が簡単に手に入るのは、広告制作などでは大きな魅力だ。個人のブログやSNSでも、ネットから持ってきたものはもちろんだが、自分で撮影した風景画像でさえ、肖像権がからんだり商標が写り込んだりするので、思わぬトラブルを引き起こしかねない。使用者も何が何でも権利のはっきりした画像が使いたいのではなく、「そういうイメージのもの」がほしいということのほうが多いから、AIの作った仮想の画像でも十分役に立つ。
画像生成AIの作った画像が著作権的にどういう位置づけかは、現在まだはっきりしてはいないらしいが、少なくとも従来型の問題はクリアできそうだし、制作者の選択の幅が広くなるのは間違いないだろう。
画像生成AIは、Midjourneyが本格的な機能で話題を呼んだが、すぐに無償(オープンソース)のstable diffusionが登場して、ユーザーや作品が激増するとともに、Photoshopやblenderのプラグイン版も登場するなど、早くもこのジャンルのスタンダード化しつつある。
stable diffusionを使用するには、PCにNVIDIA製GPUをのせたグラフィックボードが必要だが、ない場合はgoogleの提供するColaboratoryを利用すれば、使用可能になる。ちなみにColaboratoryも無償だが、有償版でも月額1千円程度だ。
AIの作った画像は、まだまだ歪んでいたり意味不明な箇所があったり、どことなく不気味な感じもするのだが、決してあなどることはできないだろう。権利関係の締め付けから自由になれるなら、AIを使って最善の作品を追求する制作者も出てくるだろうし、AI作品が増えれば見る側も慣れてくる。たとえは悪いかもしれないが、某いら○○やの少々子供っぽいイラストが、公的でシリアスなお知らせに使われていても、不自然に思わなくなっているのと同じようなものだ。