私はテフロンのフライパンが嫌いだ。最初に登場した時に使って、あまりの耐久力のなさに、自分が使う道具ではないと見限って以来買ってない。道具は何十年も使えて当然という考えなので、フライパン大小のほか、中華鍋、餃子鍋、近年は鋳鉄のスキレットも手に入れたし、以前はポイキー(※)というアフリカ製の鋳鉄の深鍋も使っていた。むろん包丁類もすべて鉄製で、そういう暮らしを半世紀以上続けている。
なのに先日、健診で貧血気味と言われた。高血圧で通院中だというのに貧血とは。我が身が生き証人なので医学的に矛盾はないのだろうが、河童の川流れ的なカッコ悪さを感じる。鉄製調理器具には意味がなかったのか、それとも使ってなかったらもっと早く貧血になっていたのか。医者も、治療が必要なほどじゃないと言うのでひと安心だが、「死ななきゃ治らない」を医学的に優しく言い換えただけなのもわかる。
鉄の男も、長い月日のうちにあちこちサビが浮いてくるらしい。
まさか?鉄製調理器具から鉄分接種とは?思いもよりませんでしたが、例えば南部鉄などの鍋などで調理すると、食品に吸収されやすい鉄分が溶け出し比較的手軽に鉄分摂取ができるらしいですね。例えば、鉄製フライパンや鍋でヒジキを煮ると、鉄分が最大で10倍アップするらしいです。 しかも「長く煮れば煮るほど鉄分が溶け出しやすいので、じっくりコトコト煮るのがコツ」とも。さらに「鉄分は酸性の調味料を加えると流出しやすいので、お酢を加えると溶出率が3倍になる」とも。一体?何十倍になるのか?でも一般的には食品そのものをバランスよく摂取と医者や栄養士は言うでしょうね。ちなみにフライパンや鉄鍋では無く、食品そのものの鉄分含有量とは(mg/100g)きくらげ35、あさり30、かたくちいわし(煮干し)18、干しエビ15、大豆6.8、大根3.1、小松菜2.8、枝豆2.5などと言われて居ます。鉄製鍋でこれらを調理して酢を加えたら?とんでもない鉄分になる?かも知れませんよ。ちなみに私は、あのSさんを鉄人と呼んでいますが、ご本人に確かめてはいませんが、多分彼は既にやっているのかも知れませんね。
何年か前に、ひじきは鉄分の王様から脱落したそうですよ。昔の栄養成分表がそのまま使われていたので、鉄鍋で調理していた結果を公表していたらしいのですが、計測し直したところ、鉄分が何分の1かしかなかったらしいです。ひじきが効けばよかったんですけどね。フライパン程度じゃなく、昔の囲炉裏にかかっていたような鉄鍋で煮込むのがいいのでしょうね。
時代劇や講談で、山の中の一軒家に一晩泊めてもらうと、「ご覧の通りのあばら家ですので、おもてなしもできませんが」とか言って、薄いおじやみたいなものを出してくれるシーンがありますが、あれも鉄分だけならなかなかの豪華料理ということになりますね。