年末のニュースで、除夜の鐘がうるさいという苦情で中止になったお寺の話があった。そこでちょっと地図とストリートビューで調べてみると、こんな具合だった。
さすがにこれではうるさいだろうと思う。壁一枚挟んだとなりで鐘を撞かれるようなものだ。
鐘は力ではなく、撞木という丸太を吊って、後ろに引いておいて、戻る勢いで撞く。手を離しただけでもそれなりの音になるよう、長年の工夫が施されている。
以前私が育った寺の鐘楼で古くなった撞木を取り替えたことがあったが、ほんの少し吊るす位置が変わっただけで音が変化した。お寺の鐘というのはそういう調整もしてあるので、音を小さく鳴らすのも難しい。
そこで考えたのだが、撞木の先にタンポをつけてはどうだろう。タンポとは布をくるんだてるてる坊主のようなものだ。鐘の音がうるさいのは打撃の瞬間のインパクトなので、これでうるささは大分柔らげるはずだ。しかも白い木綿の生地を108枚重ねて結わえ付けた状態で撞くのである。
その後タンポの布に1枚1枚寺の朱印を押して、煩悩を撞ききったお守りとして販売するのである。今回問題になったことで知名度もあがったろうから、108枚くらいすぐに売れるし、寺の伝統行事になるかもしれない。
寺というのは百年、二百年という単位でものを考えなくてはならず、法律で解決がつけば終わりというわけにはいかない。法律や国家だってどうなってるかわからないような未来でも、生き残らなければならないのだ。一石二鳥、災い転じて福となすようなお手本を見せなければならないと思う。
エレキギターでも無いですが、アンプを通したら良いかも知れませんね。突き棒の材質を替えて直接音は押さえて、ボリュームで調整できるようにして、近隣から苦情の出ない程度の音量に調整します。一方、鐘もコンピュータ制御で正確な時刻に自動で突くシステムが良いでしょう。
時計台の鐘だって住宅地の中にあれば隣近所で煩いと言われるかも知れませんね。そこでお寺の鐘の話ですが、近隣の住宅に防音工事さえすれば解決しますね。問題は工事費ですが、千歳市など自衛隊基地や飛行場周辺のように国から工事費予算はつかないですか。布教活動費の一環として御本山で面倒見ていただければいいのですが。ただし防音工事が実現したとしても窓の開けっぱなしでは防音にはなりません。そうなるとエアコンも必要になりますね。
そういえば、昨暮れに除夜の鐘をきき忘れました。それだけ寺との距離があるのですが、遠くで聞こえるにはいいですね。すぐ隣だと、多分煩いと思います。新しい方法としては、地下に鐘楼を作ってスタジオのように防音壁で鐘を突くのは如何ですか。もちろんネット配信します。毎日配信しますが、除夜の鐘のみスタジオでガラス越しに見たり、自分でも突かせてもらえるのです。ネットでお坊さんの講話があったりと、新しいお寺の在り方の提案です。
地下というのはいいかもしれませんね。天井は開放してても空に抜けるだけなので問題ないでしょう。同じように、昔ながらの鐘楼がある場合も、四方から緞帳のように重い布を吊るせば、衝撃音が吸収されて、余韻だけ抜けていいかもしれません。荘重な刺繍を施せば、祇園祭の山車のようになって有り難みも増すかもしれません。コンピュータに撞かせるというのは、早起きして正確な時間に鐘を撞くという、僧侶の修行がおそろそかになって、コンピュータが悟りを開いてしまいます。