エレクトリック・ヴァイオリン

ヴァイオリンは音量が小さい楽器だ。練習し始めの頃、家族に雑音を聞かせるのが心苦しかったが、逆にそんな小さい音で良いのかと言われた。自分には肩や顎から骨伝導で伝わるのでけっこう大きな音のつもりでも、外に向かってはそんなものだったらしい。そんな具合だから、本職はよくマイクをとりつけて増幅している。そうでもしないと、ピアノやドラム、エレキギターの音量に負けるのだろう。

既存のヴァイオリンにピックアップを取り付ける以外にも、エレクトリック・ヴァイオリンも販売されている。これには、主に無音で練習するためのタイプと、エレキギターのようにステージで増幅させてガンガン聞かせるタイプがあるようで、前者はヴァイオリン本来の形に似せて作ってあるが、後者の形は千差万別である。音を聴き比べたことはないが、前者は原音に近く、後者はエレキギターのように、エフェクターなどを駆使して自由な音を出すもののように思える。

エレキギターというのは偉大な楽器だ。どちらかと言えば民族楽器だったギターの枠にとらわれず、偉大なプレイヤーやビッグスターが次々と新しい音や奏法を生み出して、ポピュラー音楽に欠かせない楽器になってしまった。特に、余韻がずっと消えずに音が長く続くエフェクトなどは、本来ヴァイオリンのほうが得意なはずなのだが。

だからもし私がもう少しうまくなったら、エレクトリック・ヴァイオリンも弾いてみたいと思う。ご存じのようにヴァイオリンの値段は天井知らずなのだが、どうやらエレクトリック・ヴァイオリンは、YAMAHAのYEV104という6~7万円の楽器が最高性能なのだそうだ。
さらに興味深いのは、YEV105という5弦のタイプ。低い弦を1本増やして、ビオラの音域もカバーしているので、ポピュラー音楽にはうってつけだと思う。本数が増える分、弦同士の間隔がやや狭くなっていることと、ヴァイオリンとビオラでは押さえる間隔が違うことを考えると、從來とは全く違う楽器を始める覚悟がいるのかもしれないが。
ネット上では日本語や英語でYEVシリーズを試奏した動画をよく見かける。ヤマハが本腰を入れてエレクトリック・ヴァイオリンのスタンダードを狙っていることが分かる。これが、ポピュラー音楽のちょっとした転換点になって、エレキギター同様、最初に手にする楽器がエレクトリック・ヴァイオリンという時代が来るかもしれない。私も若ければYEVをひっさげてポピュラー音楽の歴史を作り変え、没後、生き様が映画になるところまで狙うのだが。

YEV104
YAMAHAのエレクトリック・ヴァイオリン YEV104

2 thoughts on “エレクトリック・ヴァイオリン

  • 5月 7, 2019 at 18:02
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    エレキギターならぬ「エレキヴァイオリン」ですね。この音は初めて聞きました。ちょっといい感じですね。エレキギターは持っていた事はありますが、最近では電子楽器が増えていますね。先日もショッピングセンター内の楽器店を覗いてきましたが、ピアノはもちろん、ドラムも電子ドラムでアンプのスイッチを入れないと音が出ません。小学生の女の子が手慣れた感じで軽やかなバチさばきで遊んでいました。20万円以下のものが多かったです。

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    • 5月 7, 2019 at 19:35
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      楽器店に行くと、圧倒的にエレキギターが多いですね。今の若い人が最初に手にする楽器が、エレキギターじゃないでしょうか。エレキ楽器は、単に電子化したというより、別な楽器ですね。

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