明けましておめでとうございます

本年も宜しくおつきあいのほどを。

フォントを作ってみた。書体の開発は美的センスもさることながら、緻密な計算と忍耐が必要な大仕事だ、と言われてきた。が、今でもそうなのか。定規やコンパス、烏口を使って一文字ずつデザインしていた時代ならともかく、画像処理ソフトで誰でも正確な図形や線が引けるのだから、基礎的なスキルが低い人も、じゃんじゃん書体をデザインしてもいいはずだ。完成度は低くても、書は人なりで、いわゆる味のある文字になるかもしれない、と思ったのだ。

やってみたら、流石に時間はかかったが、それほど手間ではなかった。グラフィックデザインは、現代ではフォントを選んで組み込むが、その前は写植を発注して台紙に貼り込んでいた。フォントのように手元でサイズを自由に変更するわけにはいかないが、書体そのものは選べばよかった。さらに写植以前となると、すべて面相筆で書いたり版木に彫ったりしていた。だんだん作業が楽になってきたわけだが、手書きの時代に比べれば、一つの画面のためだけに1書体を開発してもいいくらいだ。

便利なツールで作業が楽になるのは良いことだが、それで楽するだけなら、怠けているのと変わらない。作業が楽になった分、その便利なツールを使ってより一層ややこしいことをやらなければ、 デザイナーの社会的ステータスも収入も、下がっていって当たり前だと思う。

3 thoughts on “明けましておめでとうございます

  • 1月 2, 2020 at 08:19
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    デザインの世界も決まりがあり過ぎて自由が利かない時代でもあります。理由は各メーカーや企業がC.I.を遵守するようにとマニアルを作っているからです。地元企業では未だそこまで厳しくはありませんが、企業規模が大きく成れば当然マニアル化は進むのでしょうね。指定フォントはもちろん、文字サイズや、写真の割合や位置などレイアウトの果てまで指定されています。セットロゴの配置も厳格に守るよう指示されます。名刺や封筒なども同様です。ですから、昔の様にデザインも面白味は無いですね。オリジナル・デザインを作るなら制約の無い仕事ですね。創作的な分野で遊ぶ?のが良いでしょうね。今年こそ、そんな仕事もしたいですね。

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    • 1月 2, 2020 at 09:47
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      スーパーのチラシなど、バイヤーが紙面のぶんどり合戦、目立たせ合戦をしているようなところでは、CIを徹底しないとぐちゃぐちゃになってしまいますが、そういうエネルギッシュじゃない、特に日本の企業の場合は、CIも単なる足かせになってしまうような気がします。その昔、電設会社のCI事業を行ったことがあります。当時は、直前に某巨大通信会社がCIを行っていて、話題になっていました。それによれば、新CIは永遠に企業刷新を行うためのシンボルマークで、専用の部署をおいてその運用にあたると宣言していました。そこでさっそく専用部署に取材を申し入れたのですが、ほんの数年前に作られた組織は解散していました。せめて当時の責任者に取材をと異動先を訪ねたら、申し訳無さそうに、某代理店からの出向者だったと言われました。CIなんてそんなもの、とまでは言いませんが、当時の私や電設会社のCI委員会の面々は、ぼう然としてしまいました。「某大手企業のCIがどうであっても、それに倣わず独自路線でいきましょう。それこそ真のコーポレート・アイデンティティ」などと、苦しい言い訳をしたものです。

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  • 1月 1, 2020 at 11:44
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    あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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