血圧管理手帳

私もそうだが、高血圧で通院中の人は「血圧管理手帳」を渡されて、自分で計測して記録するよう勧められるはずだ。けっこう長い間習慣として続けてきたので、使用済みの冊数も溜まっている。昔の血圧の記録など何の役にも立たないが、日記が精神の記録なら、血圧手帳は心臓や血管が活動し続けてきたという、いわば命の記録ともいえる。そう思うとなかなか捨てるのは忍びない。

長年血圧値を見続けていると、自分なりの体調との関係がわかってくる。心当たりがないのに急に上がった場合、まもなく風邪の症状があらわれる、というようなことも何度かある。自分も高血圧の症状が出て、はじめて病院へ行ってから記録をつけはじめたが、若くて健康な頃から記録を取っていたなら、その後高血圧患者にはならなかったような気がする。もしかしたら、それで数年寿命が稼げていたかもしれない。とはいえこれは一部のアスリート以外、無理だろうけれど。

以前医者と、血圧手帳は医療器具の一種という話をしたことがある。薬品会社の配るオマケではないのだ。だから時折モデルチェンジされると、書き間違いやつけ忘れが増えて、非常に困る。記録作業が習慣化していると、ちょっと変わっただけで混乱する。血圧が上がってしまうかもしれない。自分に適応力がないのかもしれないが、医者だって手術室に入ったら見慣れない形のメスが並んでいた、なんてことになったら困惑するのではないかと思う。

月に1回、病院の診察して計測してもらう血圧も、日々過程で記録する血圧も、医者にとってはどちらも重要な指針のはずだ。なるべく多くの患者に記録をとってほしいと思っているだろう。そこで、使い切った手帳には病院で記念スタンプを押す、というのはどうだろう。いわば大人のラジオ体操カードだ。どんな小さなことでも、見返りやご褒美というのは大人になっても、モチベーションにつながる。商店のスタンプだって、景品がほしいというより貼り続けて完了させたトロフィーがうれしいのだ。高齢者の場合は通院を続けても、若返って体調が急激に良くなることなどはないから、律儀に記録するのが億劫になるかもしれないが、高齢者こそ日々の記録が重要だろう。ささやかなご褒美が、案外効果的な気がする。

2 thoughts on “血圧管理手帳

  • 8月 26, 2023 at 05:53
    Permalink

    私も50代に体調変化で急激に血圧が上がって倒れそうになったりと不安定な日々がありました。その後落ち着いては居ますが、通院して診察後に貰ったアムロジピン錠を朝晩一錠づつ飲んでいます。が、余り上下しなくなって落ち着いた頃からこれまでの5mg錠から2.5mg錠に換えました。不思議なもので通院時に図る血圧計の数値は驚くほどの正常値ですから問診も医師との2~3分のやり取りで終わっています。血圧手帳も遥か昔に二段脈などの症状が現れた時に暫く記録しましたが、最近ではその存在すら忘れていました。元々几帳面な性格ではないので続きません。50代の時には自分を取り巻く環境も大変で精神的重圧も有って体調は最悪でした。『病気は気から』と言いますが、確かにそのように感じますね。植木等では無いですが『無責任男』なら血圧も上がらないかも知れませんね。

    Reply
    • 8月 26, 2023 at 08:24
      Permalink

      責任ある立場にある人は、びっくりするくらいの処方箋の薬袋の束を出されてたりしますね。特に日本が景気低迷し始めた頃に、脳溢血や心筋梗塞になったという人が多いです。すべての元凶は、ストレスなんでしょうね。「さあ、がんばろう」と気合を入れても血圧が高くなりますし、心身ともに絶好調なときには大抵血圧が上がってますから、高いからダメというより、高くなってもプッツンしない柔軟な血管がだいじなんでしょうね。

      Reply

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です