テネシーワルツ

テネシーワルツは,バイオリンを買う前から,これだけはやりたいと思っていた曲.どうやらフィドルの定番曲だったらしく,無数の演奏動画があったが,とりあえずこんなふうに弾けたらいいと思っていた.

特に,指をスライドさせて音を下げるところが,いかにもカントリーぽくて聞かせどころだと狙いをつけていたのだが、実際には全く出来なかった.バイオリン本体がずれるからだ.音程を上げる場合は本体を首に押し当てる方向だからいいのだが,下げると本体が向こう側に引っ張られてしまって,顎から外れそうになる.左手がネックを握りしめてしまっていて,首でしっかり挟んで固定できていなかったためである.
本来バイオリンは首だけで挟んで,左手を外しても落ちないものらしい.それでこそ左手は自由に動くことができるのだが,完全に手を離すのはなんとも怖い.
ちなみに,テネシーワルツは昔から知っていたが,歌詞の内容を知ったのは大人になってから.

私(♀)はテネシーワルツに合わせて恋人と踊っていた
その時、たまたま私の馴染みの友に出会った
彼女を私の恋人に紹介して
そして彼ら二人が踊っている間に
友達は私から恋人を盗んだ

なんとも身も蓋もない歌詞である.ティーンエイジャーならトラウマだろう。これがテネシー州の州歌だというから、テネシー出身者には油断できないのかも.ヤンキー娘も泣き寝入りするというのも意外だった.てっきり取っ組み合いするのかと.

次回は「テネシー州の名誉のために」(12/3  AM0:31公開予定)
乞うご期待!

バイオリンはとっつきやすい?

初心者にとって,確かにバイオリンは難しいところがある.だが,実際に触ってみると,案外とっつきやすいところもある.例えば,とっつきやすいと思われているギターとくらべてみた.
バイオリンとギターのチューニング

赤丸がバイオリン,黒丸がギターのチューニグを表しているが,赤丸の間隔は広くて均等で,黒丸は間隔に均等ではないところがある.バイオリンの場合は,弦が規則的に配置されているせいで,押さえる場所の見当をつけやすく,ポジションを覚えやすいように思う.そもそもバイオリンのネックはかなり短い.そのくせ弦と弦の間にたくさん音があり,しかも規則的なので,一回握った場所からあまり左手の位置を動かさず,指先だけちょこちょこっとやるだけで,かなりカバーできてしまう.また基本的には単音だけ出せばいい楽器なので,ギターのように何本もの弦にわたって,指の股が裂けそうなコードを押さえなくてもいい.

一番大きなギターとの違いは,フレットの有無だ.フレットがあれば多少指の運びが適当でも正確な音程が出るが,バイオリンにはないので,正確な音程を出せるようになるまでが大変.実際に触るまで私もそう思っていた.しかし,フレットがないおかげで,間違った場所を押さえたと思ったら,すぐ指をずらせばごまかしが効く感じなのだ.そして弾く曲がアメリカ民謡だったりすると,間違ったのではなく,最初から狙って粘っこい装飾音を入れたように聞こえることさえあるのだ.いわばまぐれだが,テンポさえはずさなければ,それがしょっちゅう起こる.これが実に楽しい.

そういうことしてると,いつまでもうまくならないのかも知れないが.

バイオリンは庶民派の楽器?

バイオリンは本来庶民派の楽器かもしれない.最近そんな風に思う.例えば,バイオリンとサックス、ピアノを比べると,バイオリンの素材はほぼ木だけ.それを切ったり削ったり,貼りあわせたり.家具職人の持ってるような工具だけで出来そうだが,サックスはいかにも特別な工具が必要そうだ。ピアノは素材も多く,一人の職人で作っているとは到底思えない.特別なものを除けば,値段も本来この順番で高くなっていくのが普通だろう.世界的に見れば,バイオリンはそれほど高くない楽器なのかもしれない.もしかしたら,ギターよりも手に入れやすかったのではないかとさえ思える.

激安バイオリンは極端かもしれないが,世界では日本人が考えるよりずっと安いバイオリンで音楽を楽しんでいる人がいるような気がする.特にジプシーやカントリー&ウェスタンのように,民族音楽で使われているのは,どう考えても家が買えるような高級品とは思えない.

ken3私の激安バイオリンも,今後相当上達しても、音は決して良くならないだろう.プロ奏者の演奏のように澄んでピュアな音ではなく,平坦でもっさりしている.が,歌で言えばオペラの歌姫やウィーン少年合唱団だけが歌じゃない.サッチモや高倉健の歌は,決して美声ではないがソウルフルだ.そんなふうに身の丈にあった値段や音色のバイオリンで,自分に合った演奏ができてもいいように思う.
とはいえ,激安8千円のバイオリンでは,ある日突然どこかが壊れてしまうのではないかという疑念は消えないが.

ケースといったら,これだろう!

黒くてひょうたん型のバイオリンケース.ネットを探すと,私の考えるようなケースを探してる人は他にもいたが、面白いことに,そのほとんどはモデルガンを入れるか,人形を入れる(?)ためだった.みんな,現代的なケースにはイマジネーションをかきたてられないらしい.

国内のオークションを探すと、ケースは案外簡単に手に入った.昔ながらのバイオリンケースは,現在のものと比べると随分小さく,楽譜まで入れる余裕はない.多分衝撃には弱いだろうし,雨の日は中まで濡れてしまうかもしれない。だがこれでようやくバイオリンを手に入ったという実感と愛着が湧いてきた.本体が届いた時は,いろいろおっかなびっくりだったのだ.

georgeケースに収めたバイオリンのそれらしい雰囲気に有頂天になり,つい調子に乗って,”ジョージ・ワシントン“を貼ってしまった.「スーパースターになっても,セントラルパークでストリート・ミュージシャンをしていた時に,最初にもらった1枚のことを忘れない」という思い入れである.
そんなことを考えながら,最初は悦に入っていたが,まじめにクラシックをやってる人が見たら不愉快だろうなと,だんだん後悔しはじめる.が,ボンドで貼ったので,はがせない.まあ,とりかえしがつかないのが人生というものだ.歳をとってよかったことは,なんでもすぐ人生を引き合いに出せること.ついでながら,
「俺の音楽がブルースかどうかなんて知らないね.知ってるのは,これが人生だってことだけさ」
というセリフも考えてある.あとは,どこかで使う機会を狙うだけだ.

ちなみに,マシンガンを入れるのは,どうもバイオリンではなく,ギターケースだと思う.バイオリンのケースは小さすぎるし,重さで取っ手がとれてしまう.酒のボトルを入れるのは実在した.禁酒法時代をテーマにした,アメリカのテレビドラマの記念品として作られたもので,本物のケースよりだいぶ小さく,なかにボトルとグラスが入ってる.プレミアがついて取引されているようで,ちょっと欲しくなってしまった.なお,ジョージが本物かどうかというような野暮は言わないで欲しい.そのへんは,「スタッフがおいしくいただきました」ということで.

ケースといったら,これだろう?

初心者がバイオリンを始めるのに,さしあたり必要な物が全て揃った,激安セット.8千円という安さもあって,自分には申し分のないものなのだが,ひとつだけ,最初から気に入らない点があった.ケースである.

とどいたケースは黒くて四角く,箱状の本体の表面は丈夫な布でできている.手で持つだけでなく,肩からかけることもでき,楽譜をしまうポケットまでついてるのだが,私に言わせれば,これはバイオリンのケースではない.

トランクがわりにして♫

バイオリンのケースは,ひょうたん型をしていて,ふたも曲面になった硬い箱でなくてはならない.そういうケースの中に入っているのはバイオリンとは限らず,マシンガンかも知れないし,禁酒法時代の密造酒かもしれない.それがバイオリンのケースというものなのだ.
セントラルパークでストリート・ミュージシャンをやるときも,こういうケースでなければ誰も小銭を放り込んでくれないだろうし,そもそもメトロポリタン・ミュージアムに持っていけない.

そこでさっそくネットで調べたのだが,驚いたことに私が考えていたようなケースは売ってなかった.もうどこも作っていないのである.強化樹脂やジェラルミンなど,実用性に富んだケースはいくらでもあるが,私に必要なのは実用性ではなく浪漫.
今さらうまくなるとは思えないのに,バイオリンを買ったのも浪漫.教室に通って,キラキラ星を練習しないのも浪漫.じゃなければDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)のほうがよほど良いのだ。ということで,ネットで旧式のバイオリンケースを探すことにした.