オデッセイ(2015 アメリカ映画)

何年か前から、久しぶりにSFらしいSF映画が立て続けに封切られているなと思っていたが、なんとなく見逃していた。これはそんな作品のひとつ。

洋画の邦題のつけかたがおかしいのは有名だが、これもまた、どこにも”オデッセイ”な冒険や活劇はない。原題の「the martian(火星の人)」が示すとおりに、事故で火星に一人で取り残された宇宙飛行士と、生還のために奔走するNASAなど、地球側の話だ。ロビンソン・クルーソーと、名作映画「アポロ13」をミックスして、徹底的な科学考証を施したような映画である。美しい映像と、火星で生き抜くためのアイデアを、主人公の身になって味わう。そんな地味な映画でもある。

この作品に悪意を持った人物は出てこないし、人間関係の軋轢も描かれない。とりわけ主人公は絶望的な状況でも常にポジティブで、悲嘆にくれたり癇癪を起こすこともない。テーマから予想される重苦しさは全くないのが映画としては少々異色だが、宇宙飛行士は世界中で最もポジティブな思考の者から選ばれ、そのチームは個性や相性が徹底的に調査され、テストされて編成されるのだから、実は非常にリアリティがある。

エンドクレジットにNASA関係者が何名も名を連ねていただけあって、科学的考証が徹底している。寒さをしのぐため、使用済み核廃棄物のケースを取り出してその熱を利用したり、活動停止した火星探査車を掘り出して修理し、限定された能力の範囲内で地球との通信を回復したりと、まるでNASAで実際に行われる遭難を想定した議論を、そのまま映像化したようだ。

北ミサイル発射、北海道上空を通過

今朝6時、北朝鮮が中距離弾道ミサイルを発射。襟裳岬沖1.100キロの地点に落下した。
今回は正確を期し、大圏コースでミサイルの経路を調べてみた。

 

今回の飛行経路をそのまま伸ばすと、その先にはハワイがある。

グアム方向を狙えばアメリカの報復を招くかもしれないが、日本上空であれば、かつてテポドンミサイル発射の際にも越えている。また、ICBMを発射するとアメリカを刺激するので中距離ミサイルに。但しその先にはハワイを見据える。絶妙なバランスの挑発行為だ。

さらに危機は増したとはいえ、官房長官も、冷静に普段と同じ生活をと言っていたので、我々もそうするしかない。他に何ができるわけでもないし…。
ただし、アメリカに対する先制攻撃があった場合は、中国は関与しないとも言っている。ミサイルは日本上空で3つに分解したそうだから、襟裳沖への落下を狙った中距離ミサイルではなく、ICBMが分解してそうなったとアメリカが判断すれば、報復攻撃に出る可能性はある。

ともあれ、これで金正恩は、世界史の中で父親を超える存在になれるかもしれない。40代まで生き延びられるとも思えないが。

SETI(セティ/地球外知的生命体探査)

SF小説にでも出てきそうなタイトルだが、これはカリフォルニア大学バークレー校 Space Sciences Laboratory(米)による、れっきとしたプロジェクト。宇宙から地球に届く電磁波の中には、もしかしたら知的生命体からの信号かもしれないものがあるが、それを解析するには、スーパーコンピュタを使っても膨大な時間がかかり、予算も天文学的である。(宇宙だけに…)

一方、インターネットには無数のPCが接続されていて、ほとんどが計算能力をフルに利用していない。そこで一般からボランティアを募って専用のソフトウェアをインストールしてもらい、オーナーが使っている裏側で信号解析の計算を行い、随時本部に結果を送信する。世界中で分業することで、スーパーコンピュータ以上の計算を行う。こんなプロジェクトが1999年から続けられている。参加資格はネットにつながるPCを持っていること以外、特にない。

実はその昔、突然家人がこれを始めた。私は内心『くそ、かっこいいじゃないか』と思いつつも悔しいのでマネしなかったが、傍目で見ていた限りでは、普通のPCの使用に支障はなかったようだ。初めて地球外知的生命体の存在が明らかになったとき、協力者として自分の名前が残る。そんな夢を実現したい人は、「seti@home」からソフトをダウンロードしてみてはどうだろう。

アレシボ天文台(プエルトリコ)の電波望遠鏡。ここで受信した電波を解析することになる

マック・ザ・ナイフ

ジャズ・プレイヤーにあまりにも多くとりあげられているので、ポピュラー曲のように思うが、作曲家はクラシック畑の、クルト・ヴァイル(独1900-1950)。
ということで、きら星のように動画が存在するので、ひとつ選ぶのは難しいが、今回はソニー・ロリンズで。「サクソフォン・コロッサス」のモリタート(マック・ザ・ナイフ)は超有名だが、私自身子ども時代に発表されたもの。その後何度も日本、しかも北海道までコンサートを開いてくれた人なので、電気楽器をバックにして、メタル製のマウスピースで吹くようになってからの、新しい演奏のほうが親しみやすい。これは’81年、日本での「ライブ・アンダー・ザ・スカイ」コンサートの様子。

ちなみにソニー・ロリンズは、本当に”即興で”ソロをとるプレイヤー。ジャズメンなら当たり前だと思うかもしれないが、いわゆるアド・リブ部分は、即興でなく、練習時に作りためておいたフレーズを出しても一向に構わない。聞く方も作り置きかどうか、区別がつかないのだから。
ソニー・ロリンズは、本当に即興で、しかもコードやモードを再構成して作ったというより、ちゃんとメロディとしても聞こえるフレーズを紡ぎ出す。コンサートでは興に乗って予定以上のソロを続けたり、ところどころにしゃにむなフレーズを入れて、メンバーを戸惑わせたりする。そのへんも魅力だ。

出港はいつ?映画「バトルシップ」

6月17日、アメリカのイージス艦とコンテナ船が衝突。このため、映画「バトルシップ」のTV放映が中止になった。(この記事参照)その後、9月に放映されることになった矢先の8月21日、今度はマラッカ海峡でアメリカ駆逐艦「ジョン・S・マッケイン」がタンカーと衝突事故を起こし、今回も犠牲者が出た。

さて、これはどういうことだろうか?戦艦とは言え貨物船が衝突すれば、犠牲者が出るほどの被害を受けることは前回で分かった。2度めというのが、偶然だけではなく何らかの原因があるとすれば、米海軍の士気が下がったり、訓練不足の兵士が乗船しているのか。そうだとしても操船だけはベテランが担当するだろうから、原因としては考えにくい。では、アジアの情勢が不安定になる中で、イレギュラーで無理のある行動をとっているのだろうか。だとしても、6月に事故を起こしたばかりで、立て続けというのはないと信じたい。

では、民間船側に原因があるとすれば、テロだろうか。これも考えにくいことではあるが、もちろんアメリカはその可能性も真っ先に検討しているだろう。それまで通常の業務をこなしていた、互いに無関係なはずの2隻の乗組員がすべてテロリストに入れ替わるというのも考えにくい。が、マラッカ海峡といえば、海賊の名所だ。海賊と言っても海賊保険のようなものもあるだろうし、乗組員が命をかけて抵抗する必要はない。船主と海賊の、金銭の交渉だけなので、乗組員はあっさり「海賊」を乗船させてしまうかもしれない。

船籍も目的地もはっきりしている民間船が、多少不自然に近づいてきただけで、ミサイルをぶっ放すわけにはいかないだろう。が、それまで互いに手でも振ってればよかったのに、民間船が見えたら米軍は射撃準備くらいはするかもしれないし、民間船も心中穏やかではなくなるだろう。

ちなみに映画のほうは、なんとなく不穏な空気を吹き飛ばしてくれる、痛快娯楽作品である。