Dear Old Stockholm

マイルス・デイビスは1991年になくなっているため、オリジナルが多い彼の演奏は、パブリック・ドメインとして登場する機会がない。何かないかと探していたら、1955年の「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」のこの曲が、スエーデンの伝統曲だったことを知った。いろいろなジャズマンが取り上げていて、どちらかといえばモダンな印象だったので、気が付かなかった。

マイルス・デイビスについては、なんと言っても地元札幌でのステージのことが忘れられない。正直に言うと、このころのマイルスが発表した、「アガルタ」などのエレクトリック・フュージョン音楽は、好きになれなかった。まさか地元まで来るなどとは思わなかったので、さんざんけなしてもいた。

そこへ札幌公演のニュースである。ジャズが好きで、心はハーレムにあるとはいえ、身は札幌。そんな我々のもとに、帝王みずからお越しいただけるのである。それまでの演奏スタイルには戻らないようなので、往年の枯れ葉やモーニンは、間違っても聴けそうにないのだが、それでも「見るつもりで行こう」「いや、拝むのだ」「気難しいそうだから、途中で帰ったりしないだろうか?」「だとしても、オレは何も言えねえ」と、ドキドキハラハラで其の日を待った。

ステージのことは正直あまりよく覚えていない。帝王と同じ空間にいるというだけで、打ちのめされてしまったのである。幸いにも演奏途中で帰ってしまうことはなかったが、後に「マイルス・デイビス自伝」を読んだところによると、日本公演中は上機嫌だったそうだ。あれで?という感じではあるが。
アメリカでは、ジャズの巨人でも、自分で楽器を持ってバスや車でクラブを回り、自分で宿も探さなければならない。黒人のミュージシャンの立場はそんなものだったらしいが、日本では空港に出迎え、宿泊は一流ホテルという扱いを受ける。「バーンスタインのように扱われた。日本人はジャズをわかっている。日本人を愛している」と書いてあった。

2 thoughts on “Dear Old Stockholm

  • 10月 3, 2017 at 00:50
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    彼らのアドリブはとても巧妙でついていけませんね。まるで新しい曲を即興で作っているかのようです。しかしジャズは同じフレーズを何度も繰り返すことが多いですね。

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  • 10月 2, 2017 at 23:55
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    トランペットは聞くのはいいのですが,演奏となると,彼らの真似はなかなかできません。特に見せ場の高音域は素人には難しすぎます。有名ジャズメンの生演奏は,大阪時代にいろいろ聞かせて貰いましたが,確かに聞いていたはずですが,余り憶えていませんね。あれは別世界のものですね。それよりも高校生の夏休みに新宿のジャズ喫茶のステージで観た東京キューバンボーイズの方が印象に残っていたりします。初めて観たビッグ・バンドへの迫力への驚きだったようです。それにしても,もっと真剣に観ておけば良かったと今になって後悔しています。今は亡きプレイヤーも多いですから。

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