島松駅逓所

先日知人に誘われて、国指定史跡である島松駅逓所(しままつえきていじょ)を見学した。駅逓所というのは宿屋と郵便局が一緒になったもので、開拓農家などしかないような地域に作られる、集落の機能の始まりのような施設である。これは北海道だけに見られるもので、小さな集落でも数百年前から自治の機能が整っている本州などにはないものだ。

外観を見ただけでも、屋根の勾配がかなりゆるい上に明り取りの塔屋があるなど、雪で屋根の負担が大きい北海道に適しているとは思えないが、その分日本建築としての美しさが備わっている。建設は明治6年とあり、当時は同様の施設が全道に600か所以上設置されたという。同時期に北海道開拓使旧庁舎が建造されていて、その後、札幌時計台など、北海道の官製建築物らしいアーリーアメリカンな木造洋館が建てられていく。だが明治6年に全道に建築を大量発注するには、洋風建築の知識のある棟梁がいなかっただろう。人員や木材の手配、地域の将来を見据えた場所選定など、さまざまな未知数の中で行われた野心的な事業だったと思う。

建物内部は、長い土間が特徴的だ。また、室内にさらに伝統的な民家や寺社などの縁側を備えた建物が置いてあるようにも見える。だから土間があるというより、本州の強い日差しを避けるための設計である深い軒の先端に、戸板を並べてみたという印象がある。
島松駅逓所は北海道の歴史を物語る史跡でありながら、道内ではあまり見られない、夏に焦点を合わせた日本建築の香りを色濃く残している。暑い日にその室内にいると、北海道人にも残っている日本人のDNAが懐かしがってるような気がする。

※平面図などはPDF資料しかないようなのでこちらをチェック

コロナウィルス下水サーベイランス

札幌市と小松市で続けられている、コロナウィルス下水サーベイランスの最新結果である。札幌市は急上昇中、小松市は減少傾向だ。

札幌市下水サーベイランス(6/12~18)
小松市下水サーベイランス(6/20発表分)

ちなみに札幌市と小松市の、数値の直接比較には意味がない。生活排水以外の水でどれだけ薄められているかの環境の違いによるからである。ただし同じ市の中での過去のウイルス濃度と、その時期の感染者発生状況には関連があるだろう。そういう主旨の調査でもある。
5類になったとたん、メディアなどはどこも感染者発生状況のデータを公開しなくなった。その辺がなんとなく不安だ。幸い暑くなってもマスク使用者はそれなりに多く、つけていたからといって無知頑迷の老人に見られるというほどではない。しかも自分でも筋金入りの無知頑迷なことは承知しているので、これからもマスクは外さないだろう。

札幌市下水サーベイランス
小松市下水モニタリング

I Can’t Get Started

Red Mckenzie(1899 – 1948)の曲。日本語の曲名は「言い出しかねて」。”I Can’t Get Started With You”と表示されることもあるが、聴き比べると同じ曲のようだ。美しい旋律が特徴のバラード曲で、現代でも古さを感じさせない。
演奏はオスカー・ピーターソン。スイング時代の奏法に近代的な和声を取り入れた独特の節回しと、ジャズ界屈指の超絶技巧を誇る。と書いてしまうと小難しい演奏のように思えてしまうが、誰もが知るスタンダード曲を取り上げ、どこか懐かしい感じのするスイング調にアレンジ。しかもいかにも温厚そうな人柄とあいまって日本でも多くのファンに親しまれている。

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