クルーザー

昔、クルーザーを操船させてもらったことがある。小樽港の真ん中あたりまで出たときに、突然「さあ、どうぞ」と舵輪を渡された。免許所有者がついていいれば無免許の者に操船させても良いのだそうだ。乗せてもらうだけだと思っていたのでおっかなびっくりだったが、突然操船させて反応を楽しむところまでがワンセットだったのだろう。

右折も左折も、スピードも自由自在につっ走るのは爽快だったが、なにしろどちらを見ても真っ平らな海面なので、思った以上に安全だったが、その分刺激的というわけではなかった。よくモーターボートが波を立てて急カーブを切ってるが、むしろそれくらいしないと醍醐味がないかもしれない。免許の所有者(やはり船長というのだろう)は、途中、遠くの大型船が立てた横波が近づいてきたときだけ舵輪に手をかけた。横波に対しては船首を直角に向けなければ転覆することがあるそうだ。

帰り時間になって船着き場を目指して速度を落としてからは、免許所有者でなければ操船できないと言われた。船長は俄然忙しく操作しはじめた。船というものは、スピードが出ていれば舵が効くが、低速になると効かなくなるのだそうだ。だから着岸のときは、エンジンを切った後に惰性で動く分も計算し、タッチした瞬間に速度がゼロになるように見切る。この速度が遅ければ岸の手前で止まり、早ければ衝突する。相当ゆっくりした速度でぶつかっても、船自体にかなり重量があるため、ゆっくりと押し潰れる感じで壊れるらしい。スピードが出てないときが危険というのは、同じ免許でも、車とは大違いだ。

2 thoughts on “クルーザー

  • 2月 5, 2023 at 06:34
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    それは良い経験でしたね。私のワイフの実家には船外機の付いた小舟とディーゼル・ターボの中型と同じディーゼル・エンジンの中型漁船がありますが、自分で操作した事はありません。意外に難しいものなんですね。魚探で確認してその場で釣りをしましたから確率の高い釣りでしたが
    魚探など無ければ、あの広い海での釣りも気が遠くなりそうですね。そんな訳で、気が付けば、恵まれ過ぎていて、舟の操舵も海釣りも、これまで、あまりやっていませんでした。(反省!)

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    • 2月 5, 2023 at 09:43
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      確かに恵まれてると、値打ちがわからないままということはありますね。海上に出ると、あまりの広さとまっ平らさで、どこまで行っても何も進んでないのと変わりありません。よくもこんな何もないところで魚をとれるものだと思ったものです。魚探は偉大な発明ですね。

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