エレクトリック・バイオリンの時代

バイオリンは、弾いたことのない人が考えるより、ずっと親しみやすい楽器である。軽くて持ち運びがしやすく手入れも簡単(※)。音程の幅が狭いので手の小さい人でも運指しやすい。なにより良いのは、4本の弦同士の間隔がすべて同じになるように調律する点だ。また、中国製の安価なタイプが登場してきたことで一段と敷居が低くなった。品質については絶対認められない人も多いが、悪くないというプロの評価もある。初心者には手頃だと思う。
バイオリンの欠点は音量が小さいことだ。オーケストラのように多数のバイオリンがあるなら別だが、少人数編成のポピュラー音楽では、そのままでは他の音量の大きな楽器に負けてしまう。そこでエレクトリック・バイオリンを使うプロは多い。

そのエレクトリック・バイオリンが、知らないうちに激安タイプが増えていた。2.、3万円から1万円台のものまであり、それなりに評価されているものもある。木製と違って樹脂製・合板製だろうから、型押しでできたような量産品でも、品質は安定しているだろう。エレクトリック・バイオリンは高価なクラスでも目玉が飛び出るようなものではないので、激安であっても価格的にはそう貧相ではない。何よりエレキギターで培われたアンプやエフェクターの遺産がそのまま使えるのが大きい。自分はエレキギターの経験はないが、街なかには持ち歩く人が多いのを見れば、アンプが利用できる場所も少なくないのだろうと思う。

エレキ以前のギターはクラシックや民族音楽に使われる楽器だったが、エレキ化であらゆるポピュラー音楽で主流になった。さらにロックなどの新しい音楽ジャンルを生み出した。バイオリンはまだまだクラシックと民族音楽から脱皮しきれていないが、エレクトリックが普及すれば、新しいポピュラージャンルを生み出す力があると思う。ちょっとやってみたいなあ。若ければ今から始めて「天下が取れる」タイミングなんだが。

2 thoughts on “エレクトリック・バイオリンの時代

  • 5月 24, 2024 at 08:53
    Permalink

    ヴァイオリンで思い出すのは、北海道に来て直ぐに狸小路にある楽器店で、真っ赤なヴァイオリンの形の胴のエレキギターと、ギターアンプと、ボーカル用マイクと、マイクスタンドと、ボーカルアンプと、パールのドラムを私名義でローンを組んで揃えました。安アパートの一室に届いた楽器を早速仲間3人でテスト!も即、隣室の住人が怒鳴り込んで来ました。誰が考えても当たり前の音量ですからね。若気の至りですね。そこで今度は、札幌に数多く残る使われていないレンガ壁の玉ねぎ倉庫を練習場にしようと探しました。そこなら音も気にしなくて存分に練習できると考えたからです。しかし、そんな或る日、アパートの部屋にリンゴが一つ置かれていて、リーダー格のメンバーが蒸発。途方に暮れて、やむなく解散する事に。しかし楽器が残され、しかもローンの返済もあり、やむなく楽器店の店長に泣きつき全て返却しました。幸か不幸か殆ど使われて居ないと言う事で違約金の5万円を払って引き取って貰いました。あの時あんな事件が無かったら今も手元に真っ赤なバイオリン型のエレキギターが有ったのでしょうね。エレキギターも触りだけで結局は縁の無かった楽器になってしまいました。今では、電源もアンプも不要の中古のクラシックギターで遊んでいます。

    Reply
    • 5月 24, 2024 at 09:24
      Permalink

      昔は楽器が高かったですね。新品でそれだけ揃えると、かなりだったでしょう。楽器店には若気の至りみたいなのが集まっていて、店員というより兄貴分みたいな人がいましたね。もし赤いギターを続けていれば伝説のミュージシャンだったかもです。リンゴを置いてったのというのはなんでしょう。
      ところで上の本文を読み返すと、後から注釈をつけるつもりの(※)があるのに、注釈なし。しかも何を書くつもりだったのか、思い出せません。情けないですねえ。

      Reply

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です