イメージ戦略考

一般に、企業や組織は「イメージ」でも判断される。大企業だけではなく中小、零細企業も同じで、企業イメージは時間が経つにつれて劣化していく。例えば創業時代には、経営者自らが取引先などを駆け回り、将来のビジョンなどを語る。その熱気は、毎日接する創業メンバー社員にも伝わる。それが年数を経て企業の規模などが大きくなると、顧客が主に接するのは社員になり、商談なども事務的、個人的になってしまう。そうなると「あの会社は昔は熱気があったが、今はただの◯◯屋さんになってしまった」と思われることになる。

日本は、失われた〇〇年の間にメディアからはイメージ広告が激減し、価格や品質の連呼型が主流になった。かつて華やかさを競ったデパートのショーウィンドウも、どこもスペースや展示物が縮小した。かつては華やかなディスプレイで季節の移り変わりを感じさせてくれたショーウィンドウは、ブランドのロゴがならぶばかりで、シャッター商店街さながらになった。これは、都心のドーナツ化現象とは「鶏と卵」の関係だと思う。

中小零細企業であっても、イメージ戦略は必要だ。商品、品質、サービスなどの充実に努めてきた実直な企業も同様だ。良いイメージほどささいなことでも劣化しやすい。良心的でありながら淘汰されてしまった企業は多いが、見えないイメージ劣化がその原因のひとつかもしれない。

2 thoughts on “イメージ戦略考

  • 10月 13, 2024 at 13:30
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    109年もの歴史に終止符を打った倒産劇に遭い、最後に大正時代に創立と同時に創業者が掲げた社是の額を頂いて来ました。創業時の社是から受ける実直さと最後の社内イメージとでは相当違っていました。それは倒産前の本社会議で出張した時にも感じました。新しい商品開発や何処にも先駆けたアイディアが魅力だったはずが、ことごとく後進同業者に真似され始め、しかも逆転され始めたのです。更には、当時はニューメディアと称していたインターネットへの取り組みの遅さも原因で、時代に乗り遅れた事です。紙と鉛筆だけの時代は終わって、業績が急激に落ち込み、メディアへの支払棚上げと同時に外部からトップも整理屋らしき代表にチェンジ。その時点で会社整理のシナリオは出来上がっていたようですね。長く続いた歴史もあっけなく一瞬にして忘れられる存在になりました。創業者も最初は自転車で街中を駆け回っていたと聞いて居ますが、ご自身が無くなっても、まさか自転車操業になるとは思わなかったでしょうね。

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    • 10月 13, 2024 at 14:22
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      変化の激しい業界では、創業の理念にだけこだわっていては、100年も続かなかったとは思いますね。社会の大きな変化に影響されにくい小さな市場、特殊な業種が減ってきて、どんな市場にもITを武器に大手が進入してくるので、中小零細企業は大変です。さらにアイデアや労力を費やさないと生き残れないでしょう。大企業中心の社会だから、消費者は小規模事業者からのユニークなアプローチを待ち望んでいるとは思うのですが。

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