運び屋

2018年封切りの、クリント・イーストウッド主演・監督映画。90歳の麻薬の運び屋の実話に基づいた作品で、主人公は87歳のイーストウッドが演じている。
クリント・イーストウッドと言えば、我々の世代だとマカロニ・ウェスタンやダーティハリーを真っ先に思い出すが、その後の監督業で、アカデミー受賞2作を含む数々の名作を生み出している。音楽監督、作曲家としても活躍していて、まさに映画界の巨人だ。

もちろん大好きな監督なのだが、映画作りが上手すぎて、作品世界に没入させられてしまうので、気力体力が充実してないと見られない。監督第一作の「恐怖のメロディ」からして、世の中にストーカーという言葉すらなかった時代に、DJファンの妄執のすさまじさを見せつけられてトラウマになってしまった。

その「運び屋」だが、主人公は90歳の農園主で、家族より仕事や仲間との交際を重んじて過程を顧みず、妻子からあいそをつかされて独居生活。そのうえインターネット時代に乗り遅れて農園が立ち行かなくなってしまう。そのうえ麻薬組織からの誘いに乗って、運び屋を始めることになる。思わぬ大金を手にしてすべてがうまく回り始めるが、当然見ている方は、悪い予感しかしない。

ところがそこからがこの作品の真骨頂で、予想通りのバッドエンディングながら、「何歳になってもゼロからやりなおせる、したたかな人間の物語」を観たような爽快さを感じさせてくれる。映画評の中には、齢をとって動作が衰えたイーストウッドが痛々しい、という声もあるが、それも90歳の演技をしていただけで、本人はまだまだしゃきっとしているらしい。「ミリオンダラーベイビー」でアカデミー最高齢受賞の記録を作ったのも、すでに15年前。なんと今年も「The Ballad of Richard Jewell」という監督作品が公開されるらしい。

李子柒 / 栗

今回の李子柒は栗。 タイトルの板栗とは、中国北部で取れる品質の良い栗の品種。昔から天津の港に集められて日本に出荷されてきた。いわゆる天津甘栗である。日本人にも馴染みの深い栗なのだが、栗ご飯ではなく、見たことのないようなメニューに仕上げてゆく。

栗を拾う時はイガごと踏んで、中身だけ持っていくのかと思ったら違った。また、ドングリも拾って、粉にして「ういろう」のようなものを作った。もしかしたらドングリではないのかと思って 「橡子 」を検索すると、やはりドングリ。ただし中国語のwikiでは、そのままではタンニンが強くて苦いが、砕いて水に晒すと大変に美味しいとあった。まさに今回のメニューである。日本では食べないような気がするが、地域によって違うのだろうか?栗よりたくさんとれそうなので、飢饉の時などには助けになったと思うのだが。
それにしてもいつもながら山の幸と新鮮な野菜の、健康的な食卓だ。動物蛋白に、烏骨鶏の丸煮込みまである。贅沢だなあ。長生きするんだろうね、あのお婆さん。

Lover come back to me

シグマンド・ロンバーグ(1887 – 1951)作曲の、日本でも人気の名曲。邦題は「恋人よ我に帰れ」(我に返れ、ではないのでご注意)で、以前紹介した「朝日のようにさわやかに」と同じ作者である。
こんな有名な曲をまだ紹介していなかったなんて!パブリック・ドメインは、著作権の理屈も複雑で、正直どこで探したらいいのかよくわかっていないので、こんな風にうんと古くてうんと有名な曲にで食わすと本当に嬉しい。さっそく動画を探すと、北村英治さんの演奏があった。(失礼ながら)まだご存命かななどと思いながら日付を見ると、なんと2017年。88歳のステージである。

クラリネットは一度だけ吹いてみたことがあるが、なめらかな音色に似合わず、実に息の苦しい楽器だ。楽器は1日練習を休めば取り戻すのに3日かかると言われる。まして高齢者なら、1日の遅れを一生取り戻せないかもしれない。それをワンステージこなすのだから、おそらく今でも毎日練習を続けているのだろう。そう思ってみると、広い肩幅と胸の厚さは、到底88歳とは思えない。
ちなみに演奏中に管の中に布を通して水を拭き取っている。サックスでも欠かせない手入れ法だが、演奏者以外の人には珍しい光景かもしれない。

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