という言葉を思いついた。ネット上でも見かけないので造語だが、国などの大きな組織までが、特定のIT施設やサービスに依存しきっている状態、という意味合いである。ただし日本がそうなるぞ、という話ではない。国の重要なネットワークを海外の大手IT企業のサーバーに置くのはどうかなと思わなくはないものの、今の日本は、むしろ西側諸国に対し相応のリーダーシップを示せている。
電子属国という言葉で、真っ先に思いついたのはブータンである。その若き国王が2011年に来日した際には、「GDPではなくGNH(国民幸福度)を国政の指標にする」という言葉で、ちょっとしたブータン・ブームが起こった。
が、近年ブータンにもインターネットが普及し、国民の間に外国との生活水準の差などに対する不満が高まった。結局ブータン国民も、便利で楽しい生活のほうが好きなのだ。そして現在、国内の発電所をいくつか専有して、ビットコインのマイニングを始めてしまった。
国民の不満解消とマイニングがどうつながるのかいまいちわからないが、IT化社会のスピードで問題解決を図ろうとしたのかもしれないし、他に打てる手がなかったのかもしれない。また、儲かってるかどうかもわからない。が、産業振興や教育などに利用されるべきで電力を国を挙げて博打に注ぎ込むのだから、世界の目も一気に冷たくなったことだろう。
もうひとつの例がロシアである。ソ連時代も含めれば、かつて世界2位の軍事力が「ウクライナで2位」に、同じく経済力も世界2位から10位程度にまで転落した。加えて制裁による半導体やITサービスの停止は、民間航空会社にも大きな影響を与え、欠航や事故が相次ぎ、数年後には1機の旅客機も飛ばせなくなるとさえ言われている。
世捨て人のように孤高を貫いていた国も、武力を背景に我が物顔だった国も、ITの支配を受け入れなくてはならない時代なのかもしれない。閉塞感を覚える話だが、軍事的な属国化よりはマシだとも言える。複雑すぎて、年寄りの頭には収まりきらないが。(今はこれが精一杯だ)
ちなみにネット上には、同様の主旨で「IT小作人」という言葉があったが、電子属国のほうがかっこいいと思う。