コンディション

演奏のコンディションが良い日と悪い日がある。まるでアーチストのような言い草だが、実際は自分のような未熟なプレイヤーほど、コンディションの影響をうけるようだ。思ったとおりに次々と音が出て、この調子でうまくなればそこそこ行くんじゃないかと思う日もあれば、手も頭も回らず、やはり歳なのかと落ち込む日もある。そもそも時間はあるのに、まったくやる気が起きない日もある。
はじめは調子が悪かったが、止めたくなるのをこらえて続けてるうちに調子が出てくる。そういうときは、自分にも伸びしろがある感じがしてうれしい。なんとなく気分が冴えなかったのが、演奏しているうちに霧が晴れていくように頭がさえ、気分もリフレッシュ。毎回こうだと楽器の効用も絶大なのだが。

また、どうしても調子の出ないのは、気力や思考力などが低下している警報でもある。日常生活や仕事は、長年のことだけに多少コンディションが悪くても無難にこなせるので、コンディションの低下に気が付かないこともあるだろう。演奏が上手く行かない時は、他のことでもミスやアクシデントを招きやすくなってると思うことにしている。

ちなみに「演奏」と言っても、自宅で練習しているだけのことだが、なるべく「練習」と言わないことにした。たとえ観客もなく、だらしない普段着のままでも、楽器を手にした以上すべての瞬間が「本番」である。それは人生と同じだ。

特訓!!

楽器店のレンタルスタジオで、ブルース・ヴァイオリンの一人特訓をしてきた。一昨年ころからカラオケ特訓を考えていたのだが、もう少しうまくなったらなどと思っているうちに、コロナ騒動が始まり、カラオケは自粛の風潮になってしまった。一人だからかまわないだろうとも思ったが、名指しで自粛しているものを禁を破る度胸はなかった。そこで楽器店のスタジオに変えたのである。

スタジオは6畳間くらいのスペースに、ドラムセットとアンプがある防音室である。持ち込んだmp3プレイヤーのバック演奏を流しながら、1時間のロングプレイに挑戦した。いつもはせいぜい10分かそこらでやめてしまうので、途中でへばるかと思ったが、とりあえずなんとかなった。ヴァイオリンは演奏ポースを続けるだけで大変なので、途中からだんだんおかしな格好になってきたが、このへんは今後の課題である。

課題はそれだけではないものの、とりあえずバック演奏をスピーカーから聞けたのが良かった。これがヘッドホンでは自分の出した音が聞き取りにくく、急かされているような気分になってしまう。なにより演奏中にヘッドホンがずれたり、コードが腕にからまったりしないのが快適だ。私はヘッドフォンとの相性が悪く、すぐコードを踏んでぶち切ってしまう。それで何個壊したことか。なくてはならないものではあるが、好きか嫌いかで言えば、大嫌いだ。
バック演奏は、ギターアンプを通して流したが、はるか昔に見たアンプとほとんど形が変わっていないように思えた。詳しいわけではないので、おそらく性能的にはずっと向上していると思うのだが。また、スイッチを切るときはボリュームを下げてからと言われた。これまた昔もそんなことを聞いた覚えがある。色も黒だけ。似て非なるジャンルのオーディオ機器は、デザインもとりどりだというのに。もしかしたらアンプというのは、ピアノやヴァイオリンと同じく、楽器とみなされているのかもしれない。

棚も壁も、楽器やアクセサリーで埋め尽くされた楽器店の空間は居心地がいいものだ。音楽の好きな人、楽器に愛着のある人しか入ってこない空間である。誰にでも彼にでもマニュアル・フレンドリーな店と違って、要件には正確に答えるが余計なセールストークもない。専門店っていいなあと、つくづく感じた。(※実際行ったのはしばらく前で、記事は予約投稿してあったもの。ここだけ読むと、コロナ第4波の最中のように聞こえるので、念の為)

ブルース歩きがやめられない

小さなMP3プレイヤーを買った。ブルースのバッキング演奏をイヤホンで聞き、アドリブをハミングしながら歩くと、なかなかいい感じだ。人の目もあるので、ニューヨーク証券市場を聞いてる風な顔をしてるつもりだが、ついつい体がスイングしてしまうのはやむを得ない。

まず、世界観が変わって見える。街の風景にBGMが流れているようなものなので、映画の主人公になった気分だ。また、曲のテンポに合わせて、足取りがしっかりしてくる。歩く速度と老化には関連性があるそうだから、実利もある。そして何より、良いフレーズが出てきたときには、思わず「イェイ!」と言いたくなるようないい気分なのだ。きっと、演奏も上達するだろうと思う。

考えてみれば、別に珍しいことをしているわけではない。ウォークマンが登場したころは、街中そんな人だらけだった。その頃と今が違うのは、youtubeなどにバック演奏のデータが山ほどあるということ。私はDのブルーズだが、大抵のポピュラー曲のバック演奏があるのではないかと思う。こういう状況は、せいぜいここ5年くらいのことではないだろうか。
別に新しいことではないのに新鮮な感じがするのは、歩行者がうつむいてスマホ画面を見る人ばかりになったからだろう。交通事故云々についても、スマホ歩きよりずっとましだと思う。

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