タイトル画像の話 / 錆と汚れ

CGを作っていると、錆や汚れ、コンクリートのざらついた表面などが好きになる。本当に表面が荒れているのではなく、単純なツルツルの平面なのに、錆の画像などを貼り付けただけでそれらしく見えてしまうからだ。

また、こういう素材の表面は光が反射することがないので、光線の当たり具合で色合いが変わったり周囲の不要な物まで写し込んでしまうこともない。錆の表面はざらついているという、見る側の思い込みに乗っかって楽をしているのだ。
だが、そういう錯覚が仇になることもある。今回も油差しと汚れた布を作ったのだが、茶色のはずの油汚れ部分がどうしても血に見えてしまうのだ。人間の視覚が、血の色に過敏にできているのだと思う。

タイトル画像の話 / 雑誌とキーボード

昭和時代のCGでは、開いた雑誌のページを作るのがちょっとやっかいで敬遠していたが、Blenderなら一発。もっともらしい紙面づくりを楽しむことができた。

それだけでは寂しいので電子楽器のバーチャルなキーボードを投影させることを思いついた。PC用にそういうのがあったので、楽器にもあるだろうと。だが、それがやっかいだった。密閉した箱の中に光源を置き、底面にキーボードの形の穴をあけて漏れた光をデスクに投影する。理屈はそうなのだが、穴の切り抜きや光源の位置の調整などがけっこう面倒だった。

ちなみにロゴは某有名メーカーではなくハマヤ。見えづらいが、マークも音叉ではなく3本の破魔矢だ。そういうしょうもないおふざけはCGより得意だ。

タイトル画像のはなし / 押しピン

CG空間では、比較対象物がなければ物体のサイズはあいまいで、ミニチュアなのか実体サイズなのか、区別できなくなる。現実世界では物体との間に空気があって、塵の乱反射などで遠いものと眼の前のものは区別できるが、CG空間は完全クリーンである。そこで、オリジナルな物体は、誰でもサイズがわかっているものを周囲に配置すると、サイズがわかりやすくなる。
この画像では、押しピンからぶら下げただけで小さいアクセサリに見える。また、押しピンの並びをやや不規則にし、やや見下す角度の目線にし、背後をベニアっぽくしたことで、フリマなどの個人の手作りアクセサリ販売風景らしく見えてくる。

吊った位置のせいでYの字が傾いているところが、今回の見せ所。端っこで吊るしたせいで重さで傾いているように見せてみた。重力の影響を計算してくれる「物理演算」という機能もあるが、そこまでしなくてもちょっと回転させてやるだけで、「あるある」な演出になる。その点で言えば、Lの字の傾きは逆に振れてなければいけない。この絵だと壁に貼り付いているように見えるかもしれない。