令和になり、天皇陛下を改めて紹介する報道が増え、陛下がビオラの奏者であることも知られてきた。だからというわけではないが、これからはビオラの時代だ。形はバイオリンとそっくりだが、大きさはかなり大きく、その分音域が低い。この低い音域がちょうど女声歌手やサックスのアルトと同じあたりなので、ポピュラー音楽になじみやすい。
オーケストラではバイオリンの伴奏的な役割をすることが多く、ビオラの名曲や有名奏者も多くはないが、ポピュラー音楽では、バイオリンがその昔に一世を風靡して、ややピークを過ぎた感があるのに比べ、ビオラはこれから。スターが登場するのではないかと思う。
演奏の際は、ビオラのほうがネックが長いので、バイオリンよりも指を広げなければならない。逆にいえばバイオリンは音と音の間が狭すぎるが、ビオラはゆったりしている。邪道な言い方をすれば、バイオリンは正しい位置からちょっとでもずれて押さえても音が狂うが、ビオラはやや許容範囲が広い感じがする。
また、ビオラにはいろいろなサイズがある。バイオリンのサイズは子供の成長に合わせるものだが、ビオラは大人用でも、バイオリンと同じサイズから威風堂々たるサイズまで、幅広い。大きいものが本来の音だと言われているが、我々が手に入れられる価格帯なら、大きさではなく楽器の当たり外れの範囲内だろう。小さいサイズがあるのはそういうニーズがあるからで、そもそも楽器としての標準が決まってないような気がする。
さらにバイオリンにはエレクトリック楽器があるが、ビオラにはない。そのかわり、YAMAHAのYEV105のように、5弦でビオラの音域までカバーしたものが出ていて、このあたりが、これからのポピュラー音楽に大きな役割を果たすのではないかと思う。