映画スターウォーズシリーズ第4作、ファントム・メナス」から、主人公アナキンのセリフ。1.2.3作で銀河系を恐怖で支配していたダース・ベイダー卿。その彼がまだただのアナキン・スカイウォーカー少年だった時代のエピソードである。母一人子一人で、廃品回収などをしながら健気に賢く生きるアナキン少年が、いつ巨悪の片鱗を見せるのか、ファンはその一挙手一投足から目が話せない作品だ。
ジェダイマスターのクワイ・ガン・ジンは、アナキンの中に眠る素質に気づき、ジェダイ騎士になる意思があるかどうか確かめる。幼い身で母のもとを去り、会ったばかりの人間に連れられて見知らぬ星に行く。
「修行はきびしいぞ」
そう言ったクワイ・ガン・ジンへの、アナキンの返事がこれである。
「はい」でも、「がんばります」でもない、厳しい修行こそが自分の願いだといえる、強い意思。人生の岐路に立ったときに、これほど堂々と我が道を選ぶことができる人間は多くないだろう。なしくずしの決断や言い訳に明け暮れて、またそれを悪いこととも思わずに暮らしていた自分だが、このセリフの前では流石に己を恥じたものである。
結局この作品では、アナキンが悪の道に走る兆候は一切見られない。が、方向性は違うが、後に銀河系を支配することになる男の、器の大きさや風格といったものがこの一言に表れているように思う。ネット上のスター・ウォーズ名言ランキングなどに全く登場しないのは謎だが、このセリフのおかげで私にとってシリーズ中一番好きな作品になっている。