鶏肉詰めまるごとスイカの焚き火焼き(インド)

ぶつ切りの鶏肉にレッドチリパウダー、ターメリック、塩、生姜とにんにくのペースト、ヨーグルト、カード(自家製のフレッシュチーズ)、コリアンダーを順番に入れてよく揉み込んだら、さらに玉ねぎ、青唐辛子、レモンの絞り汁、生のコリアンダーの葉を混ぜて3時間味を染み込ませる。そして、スイカをくり抜いて、木の葉とともに漬け込んだ鶏肉を入れ、フタをして焚き火で焼き上げる。

促成肥育のブロイラーが並ぶどこかの国と違って、インドで使うのは親鳥だ。たくさんの卵を生み終えた親鳥は、肉は少々硬いが味が濃縮されていて、噛みしめるほどに味が出る。タンパク質分解効果のあるフルーツと一緒に長時間蒸し上げれば、芳醇な味を残したままふっくらと柔らかい、特別な日のための鶏肉料理になる。
やがてスイカの表面が真っ黒になったころ、あたりにはスパイスと鶏肉の蒸し上がった、どこか甘い香りが立ち込め、子どもたちにごちそうが近いことを教えてくれる。

女性は言う。

「伝統料理かって?どこの世界にスイカに肉を詰めて焼く料理があるもんかね。あたしのオリジナルさ。でも味は悪くなかったよ。なんと言ってもインド料理はインスピレーションだからね」(そんなこと言ってません)

親鳥

肉の卸業者が土曜日だけ開催する一般向けのセールで、丸の「親鳥」を手に入れた。スーパーなどで売っている「若鶏」は生後50日ほど飼育して出荷したものだが、親鳥はさらに長期間飼育して、卵を産ませたもの。ひね鶏とも言われる。若鶏は身が柔らかくクセはないが、親鳥の身はずっと歯ごたえがあり、色も味もはるかに濃い。若鶏はちょっと長く煮込むとバサバサで味がなくなってしまうが、親鳥は弾力と味わいが残る。今回は丸のまま1時間ほど蒸してほぐしてみたが、噛めば噛むほど味が出てきた。

いわゆるブロイラーの丸鶏も使うことがあるが、親鳥のほうが大きいということはない。重さはどちらも1キロ前後だが、親鳥は足が長く、全体的にスリムだ。逆に若鶏が、わずか50日前後で、ブクブクに太らされているということだろう。

ちなみに鶏は、我々の食用の鶏卵を産ませる種類と、ブロイラーの鶏肉を取る品種はぜんぜん違うらしい。だから親鳥に卵を産ませたと言っても、それは若鶏用のヒヨコを孵すための卵なのだろう。ちなみにいわゆる地鶏の味が濃いのは、親鳥まで育てて出荷するからで、品種などの差はそれほどないらしい。考えてみれば、本来家庭の庭先などで買っていた鶏は、たった50日程度で食べてしまうわけがない。卵を産まなくなるまで飼育してから落としたのだろうから、本来の鳥料理の味というのは、親鳥の味だったはずだ。いわば「鶏のジビエ」とも言える食べ方だと思うが、高くなると困るので、人気は出ないでほしい。

 

POTJIE(ポイキー)

このブログは、なぜか料理関係の記事にだけはリクエストがある。そこで今回は、以前所有していたポイキーと呼ばれる深鍋について。
これは、アフリカ全土で使われている、鋳鉄、またはアルミ鋳造の深鍋である。これで作る料理のことを指す場合もあるようだ。
買ったのは南アフリカ製だが、アフリカ全土で同じ形の鍋が作られているらしい。大きさも10センチ程度のものから、子供が入るようなもの(食べるわけではない)まで、さまざまだ。地面に直接置いて、三本の長い足の間に薪を差し込んだり、つるで火の上に吊ったりして使う。10年以上前に、好奇心だけで取り寄せてしまったが、とにかく重く、屋外で使う機会がなくてコンロに乗ようとすると、足がじゃまになる。なんとか汁受けカップの部分に乗せて使ってみたが。あまりの重さにコンロがミシミシ言った。

だが、できた料理はうまかった。なんというか、和食とはぜんぜん違う旨さで、まずくなりようがない調理法だと思った。その日取れた獲物と、そのへんの野菜を放り込んで火にかければ、誰にでもうまい食事が作れる。多少コゲても、鍋の厚みのせいか、食べられない苦さではなく、おいしい香ばしさになってしまうような感じだ。タレントがアフリカの集落を訪れて、食事に招かれるというような番組があるが、あれは決してまずいものを食べていたわけではなかったのだと知った。

また、最近はアフリカが文化的未開地帯だったわけではなく、高度な文化があったことがわかっているが、食文化についても、誰でもうまいものが作れるという方向に発展したのだと感じた。要はハダカで暮らす文化人だったわけで、それが飢餓や貧困に陥ったのは、主にヨーロッパのせいだ。


10年ほど前に手に入れたものなので、もしかしたら日本で最初だったとしても不思議ではない。正直その時は、「売れる」と思った。厚手の鋳鉄鍋ということで、使い心地はル・クルーゼやダッチ・オーブンと似ている。オーブンには入らないが、カマドを作らずに地べたで、下に薪を差し込んで使えるぶんだけ、よりワイルドだ。なにより、ル・クルーゼやダッチ・オーブンより遥かにデザインが優れている。それは長い年月、アフリカ全土に広まりながら磨かれていった機能美だ。
熱くなる蓋の取っ手を引っ掛けるフックや、料理をかき混ぜる「ポイキー・パドル」は、所有者が趣向を凝らしたデザインで、木などを削って作ることになっている。凝り性にはたまらない世界だろうし、エキゾチックな料理の飲食店でも、演出効果があるだろう。

が、持ち腐れ感が強くなってきた。そこで、ガーナのドラムの名人で、料理上手な知人が北海道に移住してきたのを機会に進呈してした。

餃子鍋の使い方/水煎包


前回紹介した餃子鍋は、餃子以外にもいろいろな使いみちがある。例えばこの水煎包、または生煎包(いずれも発音は不明)などは、家庭でもすぐできて便利だ。レシピは肉まんのやり方をそのまま探してくれば良い。水煎包の場合も薄力粉か中力粉のほうがうまい。あまりふくらまず、団子のようになってしまうこともあるが、もともと中国の家庭の肉まんはそんな感じだ。コンビニの肉まんはふかふかでお菓子のようだが、食事にするなら団子っぽいほうがいいと思う。
イーストの入った生地で小さな肉まんを作り、鍋に並べて餃子と同じように蒸し焼きにする。仕上げには長ネギのみじん切りをふりかける。家庭で肉まんはあまり作らないかもしれないが、包み方は餃子より簡単だ。また、1個のサイズが餃子より大きいので、数をたくさん包まなくてもいい。ちなみに焼き上がりにネギのみじん切りを振るのは非常に良いアイデアで、普通の餃子のときにもネギを振って仕上げると、さらに風味がよくなる。
この水煎包を「焼き小籠包」と表示することがあるが、本当の小籠包は、生地にイーストを入れず、練っては寝かせを一週間ほど続けて作る、ゴム膜のように伸びる特殊な生地なので、水煎包とは全く違う。

餃子鍋(山田工業所製)/餃子づくりの秘訣

我が家でかれこれ30年は使っている鉄製の餃子鍋がある。今ではアマゾンでも手に入るが、当時は横浜中華街の調理器具専門店「照宝」で買った。アマゾンのレビューは私が書いたものなので、鍋についてはそこを読んでほしいが、とにかくこれを使うと餃子の味がいい。プロ用を小さくしただけのものなのだから当然なのだが。

さて、そういう鍋を使い続けた中から編み出した、餃子づくりの秘訣を公開しよう。

その1.粉は薄力粉か中力粉
味が落ちる上に値段が高く、しかも時間もかかる既製品の皮など論外である。薄力や中力を使うのはデンプン質が多いから。粉の旨味はデンプンによるもので、タンパク質には全く味がない。薄力粉の弱点は冷めるとパサつくことだが、熱いうちに食べてしまうのだ。

その2.熱湯をかけて小麦粉の腰を殺す
粉に熱湯をかけるとデンプンがアルファ化し、伸びがよく包みやすくなる。サラダ油かラードを加えてもいい。水餃子の場合は水で練るが、伸ばしてもすぐ縮んで作りにくい。白菜を具材にする家なら、下ごしらえに白菜を茹でて絞った汁を沸かし直して、湯の代わりに使うと味が良くなる。熱湯をかけて練った皮は、包む時に水をつけなくても指でつまんだだけで綴じ目が塞がる。伸ばすときや包み終わって皿などに並べておくときにも、打ち粉がいらない。この辺に余計な作業がないので、市販の皮よりは早く出来上がるのである。

その3.具材はなんでも良い
肉なら豚、牛、鶏、羊なんでも良いし、魚介類でもいい。中国の家庭では、ニラと炒り卵だけの場合もある。よく長ネギか玉ねぎか、白菜かキャベツかという議論があるが、鍋が良いと、味は違うだけでどっちも美味い。

その4.包み方

●真ん中から包む方法

●端から包む方法

●両手で一気に包む方法

1番目は見栄えがよく、具の納まりが良い。2番目は日本では一般的だが、包み終わりで具がはみ出したりしがちだ。3番目の包み方は握ってポンで、はいできあがりだ。家庭ではこれがいちばんいいかもしれない。

その4.具は平らに
皮の上に具を乗せるときは、山盛りにせず、真ん中を平らに均すこと。山になってると包む途中で中からはみ出してくる。平らであれば具の厚みがあってもたいてい包みきれる。もしかしたらこれが餃子包みの最大のノウハウかもしれない。また、具がはみ出て綴じ目部分に油がつくと、焼いてる最中に口が開いてしまう。具がはみ出しそうになったら、皮を引っ張って伸ばし、強引に包み込んでしまう。これができるのも、伸びのある自作の皮ならではだ。
中国人から見るとおかしいらしいが、日本では餃子をおかずにご飯を食べる。伸びのある皮にたんまり具を詰め込んで、パンパンにふくらんだ餃子は、文句なしのおかずだと思う。

ちなみに動画を探したら、中国でも市販の皮を使ってるらしいが、本場なら、日本人が市販品を使うのを、鼻の先で笑うくらいでないといけないと思う。海外でも日本の焼き餃子が少しずつ知られているらしいが、何年か後に、知名度が逆転してしまうかも。