伝統的なものだけでなく、身につけた人間の生まれ育った風土や専門分野、趣味をモチーフにした家紋、時代性を盛り込んだ家紋があったら楽しい。それが日本独自の家紋文化の拡大発展につながるようなら、なお面白いと思う。というわけで今回は楽器の家紋。キーボードだ。
鍵盤のラシドの部分、日本式で言えば、「イ、ロ、ハ」の部分がモチーフ。伝統的な家紋にもこういうシンプルなものが多いので、けっこう家紋らしくなったと思う。
ところで、ドレミファソラシドの音階は、英語やドイツ語ならCDEFGABC、日本式ならハニホヘトイロハだ。ABCにイロハの文字を振ったのはわかるが、なぜAではなくC(ハ)から始まるのか。これは「ラ」の音から始まる音階のほうが先にあったからだそうだ。
では、そもそも「ドレミファソラシド」とはなんだろう。どこかの国のアルファベットかと思って調べたら、紀元10世紀のイタリアで始まった言い方だそうだ。
当時教会音楽の中に、各節の頭の音がちょうど1音ずつ上がっていく曲があった。その歌詞の頭の部分をならべると、ド、レ、ミ、ファ…になっていたので、音の名前として使われるようになったのだそうだ。要するに当時の「ドレミの歌」からとったわけである。