李子柒/豚肉の燻製

今回の李子柒は、豚の半身から作る燻製類。いわゆるソーセージとベーコンだ。使う調味料は違うものの、塩蔵、乾燥、燻煙のプロセスは同じ。レバーの中に塩漬け卵の黄身を詰め込んだものは西洋の燻製では見かけないが、濃厚な味の好きな人にはたまらないだろうと思う。出来上がった腸詰めはサラミのように乾燥していて、炊き込みご飯の具になった。滲み出た汁を吸ったおこげは、いかにもうまそうだ。

同じ腸詰めでも、焙煎するのが西洋式でしないのが中国式という説もある。また、アメリカ人はBBQのコンロに、くん煙剤のチップを放り込みながら焼くことが多いが、燻煙で区別するのは、炭やガス、電熱などの無煙の熱源が普及してからのことだろう。大昔は、狩りの獲物を焚き火で焼くにせよ、乾燥させるにせよ、煙がかかってしまったに違いない。そして多少なりとも煙のかかった肉の味こそ、近代に至るまでの長い年月、人間にとっての肉の味だったのだろうと思う。

李子柒 / 歌

今回の李子柒は紹介するかどうか迷った。何しろ後半が歌なのである。後日紹介しようと思うが、この動画シリーズは模倣サイトもかなり多い。そこらへんとの差別化か。それとも誰かが言ってたように、厚化粧になってきたこともあるので、何かのあせりから血迷ったのか。農業と食がメインだが、実は歌も歌える…って、どこかで聞いたことがあるぞ。

この狙いがあたってさらにファンの心を鷲掴みにするか、凋落のきっかけになってしまうか、私自身はこういう「やらかしちゃった」後、どうなるかが楽しみだ。

ともあれ前半は、大晦日にアップした動画だからか、調理シーンでこれまでにも増して鮮やかな手並みを見せてくれる。中国は旧正月だから、大晦日は関係ないかもしれないが。
肉や野菜を下ごしらえして、ジンギスカンに似た、よくわからない鍋で焼いていく。解説では貴州省の火鍋について触れていたが、画像検索しても、我々の知ってる煮込み鍋が出てくるだけで、こういう変わった鍋は見つからなかった。
この鍋でまず唐辛子を乾煎りしてすりつぶし、塩と混ぜて薬味を作る。うーむ、これからは塩山椒でもレモン塩でもなく、唐辛子塩だな。上部のお椀状のところで鶏の皮から脂を出し、鍋の斜めの部分にかけ回しながら素材を焼く。締めは、インド料理店のナンのように、コンロの内側に餅(ピン)を貼り付けて焼く。演出効果もたっぷりで、新しいビジネスを考えている飲食業にはヒントになるかもしれない。

後半はすべて歌なので、鍋のシーンを見たら切り上げてもいいかな。別に下手といういうほどではないし、何故かギターのブランドを隠してあったりと、それなりの見どころもあるのだが。

李子柒 / 自家製醤油

今回の李子柒は自家製醤油である。

脱穀に使っていた連結式の棒は唐棹(からざお/フレイル)。世界各地で古くから使われていたものらしく、武器としても、敵の盾越しに頭を殴るのに使われた。さらに棒が短くなったものがヌンチャクになり、西欧でも先端がスパイク付きの鉄球になって、名前もそのままフレイルという武器になった。このへんは映画やマンガでおなじみかもしれない。

醤油づくりに戻ると、収穫した大豆は水でふやかしてから蒸し、麹をかけて発酵を待つ。麹菌が回ったら塩水を入れて寝かせる。数ヶ月寝かせたモロミを布で濾せば自家製醤油の出来上がりだ。
この醤油で作るメニューは、きゅうりの醤油漬け、魯肉飯と煮玉子。メインの丸鶏の蒸し焼きは卵の餅(ピン/クレープ)に包んで食べる。塩分過剰なようでも、糖分と違って塩分は体内に過剰分を排出する仕組みがあるから、豊富な素材を使った食事をしていれば、体の調節機能もしっかり働いてくれる。しかもかわいい孫のオール手作り。おばあちゃんもまだまだ長生きできそうだ。