李子柒 / 川魚の煮込み

今年最初の李子柒は、あえて4年前の動画を紹介する。テーマは魚の煮込み。

最近このシリーズは、なんだか様子が変わってきた。総花的な感じでBGMが多くなり、タイムプラスシーンも増えた。シーンの切り替えもテンポが早い。人気に目をつけたややこしいお歴々が口を挟んできたとも言われているが、そのへんはよくわからない。
そこでこの機会に、以前から紹介しようと思っていた古い動画をとりあげてみた。最新作はすでにアップされているが、それと比べるとBGMが少なく、調理中に出る音だけのシーンが多い。一本の尺が短いのに、鍋の煮えるところなどがのんびりと挿入されていて、それがまた自分のような年寄には心地良い。
本編の方は、スローライフをハイテンポで紹介する番組と化し、本人も忙しそうだ。また、中国語がわからないので気が付かなかったが、キムチを中国発祥と言ったらしく、どこぞから一斉攻撃をくらっているようだ。お歴々のおおせのままに文化侵略をやってるのかもしれないが、一方どこぞのほうもこの動画を丸パクりし、中国人ではないかのようにタイトルを付け替えて公開していたそうだから、腹に据えかねたのかもしれない。どっちでもいいことだが。
ともあれ相変わらず人気ぶりだが、もしかしたら、今が爛熟期かもしれない。

などと思っていたら、どうも国を上げてのキムチ論争が始まったらしい。面白いことになってきた。次回が楽しみだ。

李子柒 / 柿酢

今回の李子柒は、柿酢と干し柿。

糖分のある果実などは、放置しておくとやがてアルコール発酵し、その後酢になる。酒造りの難しさに対して酢を作るのは簡単なようで、レストランなどでは余ったワインの口を開けて放置し、ワイン酢にして使うこともあるという。今回の柿酢の作り方も、壺に入れて保存するだけと、実に簡単だ。時間は1年以上かかってるようだが、煮沸消毒等をしている風でもない。ただし実際の酢づくりでは、もっと表面にカビのようなものが浮かぶのではないかと思う。そのへんは演出なのだろう。

さて、最近このシリーズは、以前と微妙に変わってきた。もともとは本人がひとりで撮影から編集までやっていた。それもスマホを使っていた時期もあったそうだ。だから調理シーンなども、上半身と作業スペースが全部見える固定アングルが続いた。BGMも控えめで、ときどき久石譲をちゃっかり使っていたりと、個人作業感いっぱいだった。最近はカメラマンがいるそうで、顔のアップから手元へと、頻繁にカットが切り替わるなど、より説明的になった。進化したとも言えるが、普通になってきたとも言える。また、イメージカットの挿入も増えた。以前は個人でもプロ作品に近づけようと、頑張ってイメージカットを挿入していた感があるが、今は簡単そうに入れている。こういうカットは雰囲気を盛り上げる効果もあるが、制作側の尺稼ぎテクニックでもあるので、多用するせいで全体が薄味になっている。

一番気になるのが、新品の小道具が増えたことだ。もともとは個人の家で長年使ってきた道具や調理器具に囲まれて、昔から伝わる作業をしてみせていた画面に、今は時々新品の器具が混じる。他の部分はより精密な仕上がりになっているのに比べ、いかにもうかつであるが、これは日本人とそれ以外の人間の感性の違いが現れてしまうのだと思う。実は、生活用具にまで使い込んだ古いものの味を感じるのは、日本人以外では少ない。使い古した民家の壺を茶壺にし、囲炉裏のススで燻された竹を削って茶杓にした千利休の侘び寂びは、かなり変わった価値観なのである。名作名品が古くなったものならともかく、生活用具は新しければ新しいほど良い、というのが世界の一般的な感覚だ。だから関わる人間が増えてくると、その回のテーマに必要な道具は、ちゃっちゃとどこかから調達して済ませてしまうのだろう。あげく、テーブルの上が華やかなヌーベルシノワのようになってしまう。

このシリーズも見始めた当初は、百万回再生がいくつもあってなかなか人気のシリーズだと思った。日本人と中国人に共通する古い生活文化がが、現在は千万単位がざらである。関わる人間や視聴者が増えるにつれて、動画のテイストは中国人の美意識に引っ張られていくだろう。すでに、厚化粧になったと指摘する人もいる。中国では、まだまだキレイ=厚化粧なのだろう。シリーズはこれからさらに変貌していくだろうが、実はそこが面白かったりする。

李子柒 / 里芋、タロイモ、唐辛子

今回の李子柒は里芋とタロイモ、そして唐辛子。里芋はスーパーには出回るが北海道では栽培していない。タロイモは南方のイモで、米、小麦、トウモロコシ、バナナと並んで人類の主食だった食品だが、我々にはなじみがない。見かけは京いもに似ている。ちなみにタロイモも里芋も類縁で、英語では同じ名前だ。

イモ類は根を付けたまま土間に広げた。このまま放置しても多分傷まずに、来年も種芋に使えるのだろう。動画の舞台である四川省は暑いところのように思っていたが、成都では冬も氷点下にはならないが、山間部では日中も零下の場所もある。雪が積もった動画もあるので、ほどほどに寒い場所のようだ。北海道並みならイモが凍ってしまうので、新潟くらいだろうか。
さて、タロイモは、カボチャ、紫芋などと一緒に蒸して潰し、団子にした。味付けは黒砂糖なので、ぜんざいのようなものだと思う。そして里芋は、この動画では断末魔の悲鳴でおなじみの、鶏と一緒に唐辛子醤で煮込んだ。

唐辛子はニンニクなどと一緒に塩漬けにして、自家製の醤(ジャン)にした。唐辛子ペーストは世界中のいろいろな国で、家庭でも作られていて、お好みの素材と一緒に塩、酢、オイルなどにつけて保存すれば簡単にでき、既製品より味も良い。我が家では豆鼓や海老の殻、ゴマなどと一緒に酢漬けにして常備している。餃子などにつけると旨い。