初歩からのブルース

面白い動画を見つけた。ブルースやジャズって、そういうことなのだと直感的にわかるもので、こういうのはもっと早く見たかった。英語の語りが多いので、飛ばして演奏部分だけを見たほうがいいだろう。

まず最初の方を飛ばして、4分20秒あたりから。女性が吹いているのは、楽譜通りのスケールだ。コード理論などの本にこういう楽譜がよくある。意味はわかっても、それを繰り返して練習したからと言って、うまくなるような気がしないやつだ。
ところが5分20秒ころから、プロのサックスが入ってくる。音程こそ楽譜通りだがリズムがかなり違う。楽譜にはなくても、リズムにこういうアクセントをつけてしまうのが、ブルースやジャズなのだが、それを知らずに、女性のように楽譜通りに吹いても、うまくならないし楽しくもないだろう。

さらに5分45秒あたりからは、伴奏もつく。こうなるとフルート女性の演奏もそれなりに聞こえてくる。実力がアップしたわけではなく、ちょっと気がついただけでサマになる。その後、やや音を変化させるとさらに「曲」らしくなってくる。ところどころミスをしても、やってて楽しいだろうと思う。我々低レベルアマチュアの知りたいのは、こういうちょっとしたコツだ。
なお、演奏は7分30秒あたりで終わりで、後は話だけなので見なくてもOKだ。

伴奏音源がほしいなら、一部のコードや若干テンポが違うが、同じFのブルースこういうのもある。
https://youtu.be/PEx0iETxt4k
またここでは、C管であるフルートに合わせて、出しやすいFをキーにしているのだと思うが、自分の楽器用の出しやすい調に読み替え、セブンスの音をひろってやってみるのもいい。そこで初めて、セブンスはどういう音を拾えばいいのかというような、理論が役に立つだろう。

Blues&JazzのPlay Along

以前にも紹介したChristian Howes氏の動画。簡単なブルースのPlayAlong動画で、キーはD。

Dのブルース。コード進行は DDDD/GGDD/AGDA のはず

Play Alongというのは見て分かる通り、先生の演奏した直後に同じフレーズを弾く練習のこと。我々には個人指導でない限り、こうした練習を受ける機会はなく、しかもバイオリンだとポピュラー音楽の指導を受けるのは難しいだろう。

1対1で先生と交互に弾いてみせるやりかたは、いわば落語家や歌舞伎役者、僧侶が入門した弟子を指導する時と同じで、非常に贅沢な指導法だ。まして相手はバークレーのジャズ・バイオリンの先生である。自分程度の者がこれを見られるだけでも、youtubeの恩恵と言わなければならない。

これまでこの人の動画は、日頃はプロ志望者を相手にしているだけあって、かなりレベルが高かったが、最近になって連日のようにごく簡単なフレーズのPlay Alongを公開し始めた。小中学生も対象としているせいか、妙にニコニコ顔なのが気になるが。

楽譜なしで頭に浮かんだ音をアドリブできるようになるためには、まず楽譜どおりの演奏を極めなければならない、と思ってる人が多いようだ。が、実際にはアドリブにはアドリブのための独自の練習が必要だ。コードやスケールの音と指の位置と同時に、ブルースやJAZZのフィーリングを持ったリズムを身につけなければならないが、Play Along動画なら難しく考えることなく、ただ何度でも先生のマネをすればいい。また、繰り返し聞いてるだけで、アドリブフレーズの蓄えができたり、自分のパートが入るタイミングが身についたりと、良いことづくしである。

Bluesへの道

以前、マイナーとメジャーのブルース・ポジション表を作った。これを使って練習したせいか、最近はめきめきと...能書きだけは達者になった。

大人になってから楽器を始める人は、クラシックよりポピュラーを気軽に弾けるようになりたいという人が多いだろう。最初は簡単だがそれなりにかっこいい曲を練習し、徐々に難しい曲のレパートリーを増やしていく。そのうち聞いた曲をすぐ弾けるようになり、更にアドリブができれば御の字だ。そんなふうに考えている人は多いと思う。私もそう考えていたが、いくつか考え違いがあった。

まず、曲が簡単か難しいかは、ある程度上手くならないとわからない。プロが簡単に弾いているが、実は難しい曲もある。簡単な曲を簡単に弾くと、つまらない演奏になり、やる気が起こらなくなる。バイオリン初心者の練習曲「キラキラ星」はその典型だ。大の大人が人生の来し方を振り返って、思い入れたっぷりに熱演する、という曲ではない。ポピュラーやジャズをめざすバイオリン初心者には「テネシーワルツ」がよいようだ。

ただし、テネシーワルツの次にもう少し難しい曲、というふうに練習していっても、多分アドリブにはつながらない。アドリブがしたいなら、最初からアドリブをしなければならない。泳げるようになるには、まずはプールに入ること。ランニングと腕立て伏せだけ続けても、泳げるようにはならない。これに気がつくまで、多少時間と費用を費やしてしまった。

そしてアドリブができるようになるために、昔からブルースの練習から始めることになっている。アドリブのためにはコードの流れが頭に入ってなければならない。誰でも知ってるコードの流れは、小学校の集会で礼をする時のピアノだが、 よく知ってる曲でも、あれと同じようにコードだけ頭に思い浮かべるのは難しい。
その点、ブルースはどの曲も同じコードの構成になっていて、誰でもなんとなく流れが頭に入っている。もともとがコードをかき鳴らしながら、好き勝手な歌詞を歌い上げる音楽だったのだと思う。
ブルース・スケールの練習にあたって、海外のネットにはなかなか良いアドバイスがあった。

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