STROH VIOLINの構造

STROH VIOLINの特徴は、大小2本のラッパ管だ。大きいほうは演奏を流す方で、小さなほうは演奏者が音を聞くためである。普通のバイオリンには共鳴する胴体がある上、あごで挟むことで骨電動するので、演奏者は実際以上に大きな音を聞ける。STROH VIOLINはそれがない分、耳元で音を鳴らす小さな管が必要なのだそうだ。
だが、小さいほうはつけなくても聞こえる。また、大きなほうも、管楽器ほど大きな音が出るわけではない。

今回手に入れたSTROH VIOLINは、弦の巻取りがギターと同じギヤ式になっている。これは普通のバイオリン奏者からすると邪道に見えるかもしれない。同じSTROH VIOLINでもバイオリンと同じ木のペグ式のもののほうが多いようだが、実際にまわしてみると一発でチューニングが決まり、木のペグが馬鹿らしく感じるほどだ。

弦の振動を受け止めるブリッジは、普通のバイオリン用と同じだが、削り方はちょっと違っていて、バイオリンは胴体のカーブに合わせて脚の底部もカーブさせるが、STROH VIOLINは平らな金具の上に乗せるのでまっ平らである。
ブリッジの上面はかなりカーブが緩い。カントリーや民族音楽では、難しいフレーズは無い代わりに景気よく早いフレーズを弾くので、次の弦に移りやすいようにカーブを緩くすると言われているが、今回のほど平らに近いと隣の弦を触ってしまうので、私には使えない。そこでさっそく削り直すことにした。しばらくの間、大好きなブリッジ削りが楽しめるというものである。

STROH VIOLINがやってきた

本ブログには「60歳になってからバイオリンを始めてみた」というメインテーマがある。ネット上でバイオリンが思ったより安かったから買ってしまったのだが、そもそもバイオリンに興味を持ったきっかけがSTROH VIOLIN(シュトローヴァイオリン)という不思議な楽器を知ったことによる。

かれこれ10年以上前、世界の珍しい楽器を紹介するサイトで見つけ、販売しているサイトを探してみた。が、どこでも売っておらず、あってもぼったくりか怪しい業者だけだったので手を出せないでいたのだが、このたびたまたま出品されているのを発見し、手に入れることができた。
STROH VIOLINは、1900年にJohn M.A. Stroh氏によって発明された楽器である。当時、蓄音機はすでにあったが電気式ではなかったため、録音する際には、音量の小さいバイオリンは記録しにくかった。そこでラッパ管をとりつけて音を増幅したのである。やがて1920年ころから電気式の蓄音機やマイクが登場し、STROH VIOLINは歴史から姿を消していった。現在では骨董品か、タイ辺りで作られているレプリカしか、手に入れる方法はない。これはタイ製だと思われる。

海外から特殊な楽器を買うのには心配はあったが、以前アフリカの太鼓を買っていた頃の経験からすると、あまりにも特殊なものにはニセ物が存在しない。問題はコンディションだけであるが、届いた状態は良好だった。何箇所か気になる点はあり、特にブリッジは山形のカーブが平坦で、隣の弦を一緒に弾いてしまうので新品から削り出さなくてはならない。が、それも楽しみのうちである。8千円の激安バイオリンで試しておいてよかったと思う。

error: