乾蕎麦の美味い茹で方

蕎麦好きには2タイプいる。1つ目はこだわり派。蕎麦は新蕎麦の挽きたて、打ち立てでなくてはと言い、つゆに否定的で塩や水で食べたりする人だ。そこまでいくと保健所か研究所の官能試験のようだ。もうひとつが大酒飲みならぬ「大蕎麦食い」。落語の蛇含草に登場するそば清さんのような人は昔からいたらしい。大盛り、大ざるしか注文したことがないというような人で、自分もそちらに近い。

で、本題だが、動画サイトに乾蕎麦の美味い茹で方がいくつかあった。ポイントは
・前もって水に漬けておく
・少量の油を入れて茹でる
・包装の目安の半分の時間で茹でてすぐ氷水で締める
というところだ。試してみると、水に漬けるとどうしても表面が溶け出して少々感じが悪いし、かなりもろくなり茹で湯に移すときに折れやすい。油を入れるのは理由がよくわからない。指定された半分の時間というのはあくまで目安で、自分の場合は芯が残った。などの不審点はあったが、氷水で締めた段階で表面のぬめりはとれ、乾麺ならではのざらつきはなくなり、口当たりが良くなったように思う。
機械乾燥で芯まで乾燥している乾蕎麦をそのまま柔らかくなるまで茹でると、表面が茹ですぎになってしまう。本来のポテンシャルが引き出せないので、先に水分を吸わせるということではないだろうか。
もちろんこだわり派が満足するようなものではないが、これは新しい美味の発見というより、とにかく蕎麦を食いたいそば清さんたちのための工夫だ。乾麺だからだめ、と言ってしまうとパスタやそうめんの立つ瀬がない。まだまだ旨く食べる工夫が足りないだけだと思う。せっかく(?)米の高騰で、米以外の主食に注目が集まってるのだから、乾麺メーカーの奮起に期待したい。

スイチャンネル

ある年を境に、あらゆる生物が消えてしまった海に潜り続け、観測と海藻の再生を試みる、漁業関係者の動画配信である。海藻の芽を食い荒らすウニを一匹ずつ潰して駆除し、いろいろな方法で海藻の種を植え付けて藻場再生への道を探る。

シリアスなテーマである上に季節を問わず数日に1度は潜水するという過酷な活動だが、投稿主のユーモアに満ちたコメントを見ながらの、バーチャルな海中散歩は楽しい。しかも動画を視聴するだけで、わずかでも投稿主を直接応援することになる。動画配信サイトの良い点だ。

自然環境の保護や再生というと、科学者や公的機関の調査団などが行うものと思いがちだが、実際には配信主のように現場で地道な活動を続ける人たちが主役なのだと教えられる。

これはサイト紹介動画だが、サイトには、岩場に居着いて生きる魚や小さな海藻の芽に、顔見知りのように声をかけてまわる動画が多数置いてある。投稿主と一緒に、海底のちょっとした変化に一喜一憂するのは、なかなか新鮮な体験だ。

遠謀論

陰謀論という言葉がある。世の中の大きな出来事の背後には、悪意を持った国や企業などの陰謀があるという考え方だ。サスペンスもののようで面白そうだが、少々幼稚で思考停止したような説ばかりだ。
そこで逆に「世の国家や企業の企ては、ムダや自己の利益追求ばかりしているように見えるが、まだ効果が現れてないか、見えないところで社会に貢献しているかもしれない」と勘ぐって見るほうが、頭を使うし面白い。陰謀論ならぬ、深慮遠謀の遠謀論である。

例えば、トランプ米大統領の一期目のトンデモ政策であるメキシコ国境の壁も、遠謀論では次のように考える。
まず長大な壁の完成には膨大な費用がかかるが、実際に作ったのは一部だけで、それほどのコストはかかっていない。不法流入者を減らすには、パトロールの強化や警告看板の設置など、今後ともコストをかけ続けなければならないが、壁のコストは一時的なものだ。

さらに一部分でも壁ができれば、アメリカの本気度合いを印象付けることができ、軽々しい気持ちでの不法越境なら、意思を挫くことができる。なので壁は未完成で通行可能な箇所が多くてもかまわない。今後越境者が増えた際に少しずつ延長して見せれば、そのつど越境の意思を挫くことができる...。なかなかいい遠謀論ができた。

ということで、第二期目のトランプ氏の諸施策も遠謀論で語りたかったのだが、少々手に余る感じだ。もともとトランプ氏はTV番組を持っていて人気があったそうだから、いろいろな仕掛けがあって見た目以上の企みがあるかもしれないが、思い至らない。なにか、深慮遠謀があるといいんだがなあ