中国で、豚の胎児に移植した人間の細胞を、腎臓に育てることに成功した。将来、臓器移植を待つ患者への安定供給を目指すという。
中国で豚の胎児に人の細胞移植と聞くと、西遊記の八戒を思い出す。八戒は元は天界の天蓬元帥という軍人で、二枚目の伊達男だったが、美女の嫦娥にちょっかいを出して外界に落とされる。その時雌豚の体内に落ちてしまったので、あの姿で生まれてきた。その後仏門に帰依して「猪悟能」とういう法名を得る。孫悟空、沙悟浄と同じく「悟」の文字があるのが正式な法名で、「八戒」は、特に素行が悪かったので三蔵法師から特に8つの戒めを授けられたことからくるあだ名だ。
ちなみに「猪」は中国語では豚のことだが、日本では1930年まで八戒はイノシシと考えられていたらしく、江戸時代の黄表紙本などでは、毛だらけの姿で登場する。西遊記では、悟空は案外分別くさい常識人で、三蔵法師は頭が固く短気な頑固者なので、いろいろとやらかす八戒が一番人気だ。
ところで過去には八戒どころか十戒を授けられた人もいたそうで、多い分だけ人気者になったらしい。「百戒」が必要な自分もあやかりたいものである。
最先端の医療研究というのは、次々発表される割にはそれほど身近になってない気もするが、新しい希望があるのはいいことだ。
「最近お元気そうですなあ」
「実は牛製の胃にとりかえたんですよ。おかげで雑草を食べても生きて行けそうな気分です」
というように、重病もパーツ交換で気軽に直せる時代が来るかもしれない。赤いものを見て興奮するようになるかもしれないが。
