ブロードウェイ・ミュージカルの金字塔「CATS」の映画化。2019年にアメリカで封切りされた際には、「1から5の5段階評価で言えばタマネギ」と言われるほどの酷評を受けて大失敗した。日本公開は2020年春の予定だったが、コロナで公開中止。今回ようやくレンタルになった。海外での不評は、主にCGでネコ化された登場人物が気持ち悪いという点だが、予告編を見て、「そこまで言うほどでも」と思った日本人の予想を裏切り、現在ネットでは絶賛大ブーイング中である。
私も「そこまで言うほどでも」と思いつつ視聴したクチだが、ああ、なるほどねえというのが感想だ。言いたいことはいろいろあるが、それらの細かい不満を積み重ねても、この映画の問題点を説明できないし、同じくらい見どころもあるといえばある。ネット上でもブロードウェイ版を見た人、劇団四季版を見た人、そしてどちらも未見の人、それぞれが違う不満を感じているようだ。
問題のネコ人間化は気にならなかった。むしろ、昔のメイクがそんなに素晴らしかったかと探してみたら、舞台のほうがずっと素っ頓狂だ。子供向けショーでもこれはないだろうというくらいなのだが、比べてみたおかげで映画版の違和感の正体がわかった。
それではミュージカル版(1980)のエレイン・ペイジと、映画版(2019)のジェニファー・ハドソン、2匹のグリザベラが歌う、名曲「メモリー」を聴き比べてみよう!