Youtubeには、CGアーチストによる無数のショートムービーがアップされているが、これはIan Hubertという人の作品。こういうショートムービーは、ストーリーをどこかで見たことがあったり、意味不明や尻切れトンボだったりする。どうも作家の世界観や制作テクニックを、短い時間に詰め込んでアピールするためのものらしい。視聴者もストーリーは二の次にして、ひたすら映像美を楽しむのだろう。その中で、この作品「DYNAMO DREAM」はけっこう長く、ストーリーもまあまああるほうだ。
注目すべき点は、この作品が無償のCGソフトの「Blender」と、有償ではあるが個人でも手に入れられる「AfterEffect」という、安上がりな環境で作られていることだ。また、本人のサイトでも、高度な造形や合成を手軽にするためのチュートリアルがある。
もちろんこの規模の作品がPCだけでできるわけではなく、長時間の動画は外部の計算サービスを利用し、さらに、俳優やセット、音楽など、個人では用意できない部分=お金のかかる部分については、クラウドファンディングで出資を募っている。彼のYoutubeサイトでは、個人の環境で製作可能なレベルの過去の作品から本作まで、様々な作品がおいてある。中には学校祭レベルの、少々お恥ずかしいものまであるが、特別に恵まれた環境があったわけではないごく普通の若者が、少しずつレベルを上げてはその成果を公開しつつ出資を募ることを繰り返して、かなりの大作を作る所まで来た歴史が見て取れる。
いつの時代でも社会は閉塞しているように見えるかもしれないが、現代は視点を変えるだけで、世界規模の夢も実現できる時代である、若い人には、ぜひそういう意識をもってもらいたいと思う。
DYNAMO DREAMのアピソード2と3が公開された。記事はこちら。
イアン・ヒュバートは長年BlenderとAfterEffectを使ったマッチムーブVFXを極めて来た方で、BlenderのマッチムーブVFXに関連した機能は彼の功績が大きく、Blender の開発をやっているオランダのBlenderファンデーションの新しい機能をお披露目するための新バージョンのリリースとともに作られていたデモムービーとも言えるオープンムービープロジェクト『Tears of Steel』でも監督をしていました。
https://www.youtube.com/watch?v=R6MlUcmOul8
投稿、情報提供ありがとうございます。返信遅れ失礼しました。