Cole Porter(1891-1964)の作品。John Coltraneのアルバム「My Favourite Things」からの演奏。
コール・ポーターは、ナイトアンドデイやYou’d Be So Nice To Come Home Toなど、これまでもこの企画で何度も登場した作曲家。同じ作曲家ばかりにならないように気を配ってはいるのだが、今なお演奏され続けている曲が多く、どうしても登場回数が増える。それだけ時代を超えた名曲が多いということだろう。
コルトレーンのこの演奏もジャズファンにはおなじみだ。ここでは曲の最初と最後にテーマだけ吹いて、いわゆるアドリブは演奏していない。1966年の来日時には、空港でのお披露目に数10分間ものアドリブを吹いたとも言われるが、この演奏ではソプラノ・サックスの鄙びた音色のせいもあり、落ち着いたノスタルジックな雰囲気を感じる。
コルトレーンは、このアルバムのころからソプラノ・サックスを使い始めた。今では珍しくないが、ジャズにソプラノ・サックスを持ち込んだのはこの人からだろうと思う。ちなみにソプラノ・サックスを吹いてみたことがあるが、かなり大変な楽器だった。まず、テナーやアルトと違ってストラップで吊らず、右手の親指だけで持ち上げ続けるのがしんどい。小さな楽器に見えるが、手にすると真鍮ならではの重さがずっしりとくる。マウスピースが小さいので口元をうんと絞り込んで吹き込まなければならず、音程も不安定だ。何より素で聞くとチャルメラの音にしか聞こえず、とてもこんなしっとりとした曲を吹こうという気になれない。コルトレーンの演奏だって単音を切り出せばチャルメラ音ではあるのだが、流れて来たときには極上のバラードになっている。やはり巨人なのだと思う。
ソプラノは扱いにくくて、使う人が少ないのか値段もけっこう高いです。アルトなどに比べると、肺活量より、息を押し出す力が必要だったような気がします。その点、アルトはとっつきやすいですね。今、けっこう人気を呼んでるんじゃないかと思います。
ジャズには珍しくアドリブが入らないのはまた違う趣きがありますね。ソプラノサックスは見た目はコンパクトですが結構大変なんですね。親指で支えるのはアルトやテナーと同じでもネックストラップが無いとは知りませんでした。最近ネックが曲がったアルトやテナーのようなアルトも出て来ましたね。きっとストラップがつけられるのてしょうね。ソプラノサックスはB♭ですから、B♭トランペットの楽譜でいいので一時欲しいと思いました。トランペットも大変ですが、アルトサックスも大変そうですね。