目の覚めるようなものを見た。江戸時代の名工、左甚五郎を主人公にしたストップ・モーションアニメ「HIDARI」である。
AIによる自動作成が話題を集める中、まるで正反対を行くような手作業作品。彫り目の残る民芸調の味わいの木彫り人形を、一コマずつ動かしては録画して作ったもので、本編制作の資金調達のためのパイロット作品である。
左甚五郎は、以前はよく落語や講談などの演題になっていたが、最近は聞かなくなっていたキャラクター。こうやってあらためて見ると、謎の多い人生が荒唐無稽なヒーローにピッタリだ。太棹三味線の軽快な音色に合わせ、スピーディなアクションとスタイリッシュな止め絵、大胆なカメラワークが心地よい。アンティークな道具箱から獲物の鋸を取り出し、狐面の下っ端どもをバッタバッタと斬り伏せれば、斬られる相手も木彫り人形で、血しぶきならぬおがくずを飛び散らして次々と倒れていく。
東照宮の眠り猫がいたり、右手が「からくりサーカス」のオートマタ風になっていたりと、楽しい小道具やギミックがぎっしり詰まっている。また、動きに合わせて甚五郎の印半纏がひるがえるところなどは、技術的にも大変だ。こういう作品をコツコツ作ってる人がいるというだけでもうれしい。
今は何でもCGですが、昔ながらのコマ撮りのアニメーションでも、スピード感では負けてませんね。
自由な発想で見事ですね。左甚五郎と言うので職人かと思えば侍でしたね。細かな描写に驚きました。