Stella by Starlight

邦題は「星影のステラ」。ヴィクター・ヤング(1899-1956)の曲で、実に多くのプレイヤーが演奏している。動画も豊富で、目移りがしそうだったが、ジョージ・ベンソンのギターとマッコイ・タイナーのトリオでの演奏を選んでみた。
マッコイ・タイナーは有名なコルトレーン・カルテットのメンバー。パブリック・ドメインの紹介ではあまり登場機会がないんじゃないかと思って選んだ。多くの音を鍵盤に叩きつけるような独特の奏法は、あまり調律されていないクラブのピアノを弾くことが多かったので、音の狂いを押し切るようなスタイルになったのだという。
ジョージ・ベンソンは、マスカレードのヒットでグラミー賞をとるなど、ポップスのプレイヤーという印象が強いが、こうして聞くと実にいい感じのジャズ・ギタリストだ。

ところで、youtubeでは、この曲のギター演奏の教則動画が多かった。ちょっとギタリストがうらやましいと思った。

So In Love,I Concentrate on You,Anything Goes

コール・ポーター(1891~1964)の作品を一挙に3本収録した動画。昔の人だが、さまざまなジャズ。プレイヤーに取り上げられてきているので、どの曲もなじみ深い。ここに紹介した以外にも今でもよく演奏される作品がたくさんある。パブリック・ドメインの神様みたいな作曲家である。

ジャズバイオリンの草分けにして頂点=ステファン・グラッペリと、ヨーヨーマのチェロという、豪華顔合わせも魅力だ。

音楽権利情報検索ナビ

さて、このブログには「パブリックドメイン名曲集」というカテゴリーがある。これは、せっかく楽器を練習しても、権利関係で人前で演奏できない、というようなことがないよう、権利が消滅した名曲を探し出そうという主旨だ。これがなかなか難しく、好きな曲、名曲は大概権利が生きている。という話を何度か書いたが、先日「音楽権利情報検索ナビ」というサイトの存在を知った。「平成29年度文化庁実証事業」だそうで、お上が音楽の権利情報を一発で教えてくれるのではないかと期待して見に行った。なんでも、

「音楽権利情報検索ナビ」は、あらゆる国民が著作物を創作し、利用する「一億総クリエーター」・「一億総ユーザー」時代にあって、著作物の適法かつ円滑な利用を促進する環境整備のために文化庁が実施する実証事業の一環として開設したサイトです。

だそうだから、これはもう間違いないと思ったのだが。
https://www.music-rights.jp/

どうやらここには、発売されたCD収録曲について、映画やTV番組、CMなどに使うと誰のどういう権利にひっかかるかという情報しかなかった。民謡などの明らかに権利が消失している曲についても、そのことがなかなか分かりにくい。要するに権利のある作品をどんどん使って金を払ってね、ということらしい。しかもこのサイト、なぜか公開が今年の2月1日~28日の間のみ。実証実験だからしかたがないかもしれないが、今後正式版になったら、さらにパブリック・ドメインを見つけにくように変更されるかもしれない。気になる曲がある場合は、非常に使いにくいが、今のうちに確かめておくといいかもしれない。それにしても音楽権利関係というのは、妙にうさんくさい。

サーチライト

アメリカの刑事ドラマなどで、逃げ回る犯人や車を上空からヘリで追い、サーチライトで照らすシーンが良く出てくるが、あれを経験したことがある。ヘリに乗ってたわけではなく照らされたほうだが、もちろん犯罪を犯して逃げてたわけじゃない。
その夜は付近で何か事件が発生したらしく、上空をヘリが行き来していたのは気がついていた。確かコンビニか何かに行くために夜の歩道を歩いていたのだが、背後のビルの影から突然ヘリが現れて、真上からサーチライトを当ててきた。
ライトは非常に明るいが、決して目がくらむと言うほどではなかった。その代わり、自分の周囲を真っ白い円筒形の壁が取り囲んだようになり、その先が全く見えなくなった。見えるのは自分の立っている丸い地面だけ。数歩先に穴があっても、車が向かって来ていてもわからない。とりあえず立ち止まるしかなかったが、ドラマの犯人のように走って逃げようとしても、自分がどっちを向いてるのかも分からないし、多分何かにつまずいて転んでしまっただろう。車に乗っていたら、間違いなく何かに激突する。

ドラマを見ていて、サーチライトで照らしても、横道に入ってしまえばいいのだし、ヘリで直接車を止める方法がないだろうと思っていた。要は追いかけて見逃さないようにするためだけのものかと思っていたが、どうしてどうして実用性がある。大げさなようだが、ムダに金はかかっていない。

ゼログラビティ

軌道上の浮遊物(スペース・デブリ)との接触事故で、機能を失ったスペースシャトルからの帰還。アカデミー賞の、映像関係賞を複数受賞。息苦しいに決まってるので、気力が充実してる時に見ようと思っていたアメリカ映画「ゼロ・グラビティ」を観た。サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニーという、エンターテインメントなキャストなので、息をつける場面もあるかと思ったのだが、容赦なかった。

CGにせよ、クレーンで吊るにせよ、無重力の表現は大変だ。それだけにさまざまな映画で無重力シーンが評価されてきたわけだが、この作品では全編無重力シーンである。1時間30分の比較的短い作品だが、全編見所と言っていいだろう。言葉で說明する意味のない、映像でなければできない、映画らしい映画だ。

事故の原因になるのは、地球軌道上を浮遊するスペース・デブリ。人工衛星のかけらやロケット発射時の多段ロケットの部品など、人間が宇宙に打ち上げた様々な機械やその部品だ。これらは、いつかは重力に引かれて落下して途中で燃え尽きるのだが、それまでの間、猛烈なスピードで軌道上を回り続ける。映画で事故が起こったISS(国際宇宙ステーション)は高度400キロで、90分に1回地球を回るので、そこで発生したデブリは時速27,700kmで飛んでいることになる。強力なライフル銃から発射された弾丸の10倍ほどのスピードなので、小さなボルトやビスでも、宇宙船本体や人体を軽々と貫通してしまう。そんなことで大丈夫なのかと思うが、全然大丈夫ではない。宇宙ステーションの壁は空気さえ漏れなければ特別に頑丈に作る必要はないので、いわばペラペラだ。デブリを弾き返すことなどできないのだが、宇宙は広いので、まあ、大丈夫でしょうということになっている。が、もし衝突したら、間違いなく映画のようなことが起こる。

映画では軍事秘密の漏洩を恐れた中国が、衛星を爆破したことから始まる。これはおそらく現在でも行なわれていることだろう。そうして発生するデブリだけでも十分危険だが、これらはやがてさらに恐ろしい事態を招く、と考えられている。
比較的大きなデブリ同士がぶつかると、どんどん小さな破片に分解していって、またそれが別なデブリに衝突して新たなデブリが増える。このペースが地球に落下するペースを上回れば、地球の軌道上はデブリの雲で覆われたようになり、その区間を通行する宇宙船は、猛烈なスピードの弾丸の雨の中に突っ込むことになる。つまり、人類は地球に閉じ込められてしまい、世界は気象、通信、GPSなど、あらゆる人工衛星がなかった時代に逆戻りしてしまう。
その昔工場が「廃液は海に流しているから大丈夫」と言っていたのと同じことを、宇宙で起こすわけにはいかないので、どうやら対策がはじまったようだ。日本でも、自衛隊の中にデブリ処理などを行う宇宙部隊が創設された。

ところで映画のエンドクレジットに、エド・ハリスの名前を見つけた。NASAのミッション・コントロール・センターからの声を演じていたらしい。NASAと言えばエド・ハリスだが、意外にもNASA物は「ライトスタッフ」と「アポロ13」だけだった。