STROH VIOLINの特徴は、大小2本のラッパ管だ。大きいほうは演奏を流す方で、小さなほうは演奏者が音を聞くためである。普通のバイオリンには共鳴する胴体がある上、あごで挟むことで骨電動するので、演奏者は実際以上に大きな音を聞ける。STROH VIOLINはそれがない分、耳元で音を鳴らす小さな管が必要なのだそうだ。
だが、小さいほうはつけなくても聞こえる。また、大きなほうも、管楽器ほど大きな音が出るわけではない。
今回手に入れたSTROH VIOLINは、弦の巻取りがギターと同じギヤ式になっている。これは普通のバイオリン奏者からすると邪道に見えるかもしれない。同じSTROH VIOLINでもバイオリンと同じ木のペグ式のもののほうが多いようだが、実際にまわしてみると一発でチューニングが決まり、木のペグが馬鹿らしく感じるほどだ。
弦の振動を受け止めるブリッジは、普通のバイオリン用と同じだが、削り方はちょっと違っていて、バイオリンは胴体のカーブに合わせて脚の底部もカーブさせるが、STROH VIOLINは平らな金具の上に乗せるのでまっ平らである。
ブリッジの上面はかなりカーブが緩い。カントリーや民族音楽では、難しいフレーズは無い代わりに景気よく早いフレーズを弾くので、次の弦に移りやすいようにカーブを緩くすると言われているが、今回のほど平らに近いと隣の弦を触ってしまうので、私には使えない。そこでさっそく削り直すことにした。しばらくの間、大好きなブリッジ削りが楽しめるというものである。