インターネットは誰にでも開かれたネットワークで、膨大な知識と情報を居ながらに手にすることができるが、情報の発信については、当初は特殊な技術や知識のある人しかサイトを作って情報発信ができなかった。
やがて2005年頃から、ブログやSNSが普及し、技術や知識のない人でも簡単に情報発信ができるようになった。この変化を「WEB2.0時代の到来」と言うことがある。一方で同じ頃から、検索やSNS、メールなどが、大手IT企業の提供するサービスに集中するようになった。大手IT企業はユーザーの個人情報やネット上での閲覧の履歴などを収集し、相手のニーズに合った検索結果や広告を表示するために利用した。
ユーザーの意向を先回りした情報を提供する大手ITサービスは、便利であると同時に、ユーザーの選択の幅を狭めてしまう。また、そもそもユーザーの行動を逐一収集記録することが問題視されるようになった。このあたりは、かつて犯罪に問えなかったストーキングが、法的に罰せられるようになったことに似ているかもしれない。
そこで今、ユーザーの情報を収集しない、サイトの閲覧を追跡しないことなどを謳った新しいITサービスが続々と登場している。それらはWEB3.0と呼ばれ、これまでの巨大ITサービスに取って代わるかもしれないと言われている。
WEB3.0のITサービスの特色は、「ブロックチェーン」という技術を用いていることだ。WEB3.0時代のサービスには、巨大な中心部はなく、個々のユーザーの独立が保たれる。と同時に、大手IT企業が提供していた、ネット検索や動画配信などの高度なサービスも享受できる。高度なサービスを利用者自身が一部分ずつ分担しながら、同時に利用するしくみである。
このための基本技術である「ブロックチェーン」は、ビットコインの技術でもある。ビットコインは、当初の趣旨から外れて、単なる投棄対象にされてしまったたため印象が悪くなってしまったが、本来は、どこかの国の中央銀行の信用に支えられなくても、ユーザー個人の信用で世界中と取引ができるしくみである。
現在のところWEB3.0のサービスは、ブラウザや動画配信などまだ数は少ないが、いずれも個人の権利を守ることをサービスの眼目にすえている。