北海道の勇者たち

北海道の非常事態宣言が終了した。こころなしか空気もうまい。長い間生きてきたが、伝染病での非常事態宣言というのは、初めての経験だった。SARSやMERSも別の国の出来事だったし、せいぜいインフルエンザに気をつけていればよかったのが、突然危機の真っ只中に放り込まれたのである。感染しないよう気をつけよう、どころではない。すでにウィルスが蔓延しており、自分も実感がなくても感染しているものとみなして行動する。多くの人が外出を減らし、マスクをすることで、実際の感染を防ぐしか手はない。非常事態とはそういう意味だ。私は、狂牛病で処分されて土に埋められる牛を思い出した。道民は、道からのそんな受け入れがたい要請の意味をよく理解し、自発的に対応したと思う。
若い知事のリーダーシップがどうとか、道民がお上に弱いという声も聞くが、知事は普通の若者だし、道民もそんなに大人しくはない。そうだったら道庁はどんなに楽なことか。普段は一筋縄では行かない道民が、進んで犠牲を払って危機を逃れたのである。映画で言えば、宇宙からの侵略者に対し戦うことを宣言したのは大統領だが、大きな犠牲を払いながら侵略者を打倒したのは市民だった。非常事態明け宣言3月20日は、北海道のインディペンデンスデイと言っていいかもしれない。

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