ネットマガジンの「GIGAZINE」で寄付を募っていた。サーバー費用の高騰が運営を圧迫しているとのことで、以前書いたWIKIPEDIAの場合と同様300円から受け付けていた。(前回記事)少額でもそのまま相手への支援になるし、少数の高額スポンサーに依存せず、より多くの人から集めることに意義がある。情報発信者やメディアとユーザーが直結しているネットならではの取り組みだ。さっそく寄付してみたが、サイトには寄付者の一覧が表示されるので、直後から来場者が急増した。
かつてネットは個人や中小企業が直接情報発信できる場だった。商店主などが畑違いの技術を勉強し、自分なりの考えを書き綴り、来場者は書き手の人となりまで知ったうえで商品を注文した。また、販売サイトでなくても、良質な情報提供を行っているサイトは、広告バナーを設置するだけで収入になり、さらに良質な情報発信に専念できるようになった。
が、そのうち「広告収入のためのサイト」が乱立するようになり、検索サービスは広告掲載企業を優先しはじめた。検索結果下位サイトはどんどん足切りされ、無料のブログサービスも次々終了した。さらに自前のドメインとサーバーでサイトを運用しているサイトは、サーバー費用の暴騰に加えセキュリティ、サポートのコストも上がった。ネットは小規模なサイトのメリットが減り、SNSだけで済ませるところが増えた。サイトを持つことで、これからの企業の生命線ともいえるサーバー運用に関する知識やスキルが増えるという、プラスのサイクルから外れることになる。
そんな中、WIKIPEDIAやGIGAZINEへの寄付は、中小零細企業にとっては極めてコスパの良い広告になる。ネットメディアが寄付と通常の広告とどう折り合いをつけているのか、税金はどうなのかなど気になる点はあるものの、サーバーコスト高騰の被害者であるメディアと零細サイトが、互いの弱点を補いあうという意味で有益だと思う。
