手裏剣道

手裏剣というのは不思議な道具だ。古武道の手裏剣術で使う手裏剣は、鉄の棒の先端を尖らせたもので、数本持ってナイフ投げのように使う。忍者が使う十字手裏剣や車剣などは有名だが、あんなにいろいろな方向に刃がついたものは、真っ先に自分が怪我するような気がする。現物が残っているので存在を否定はできないものの、あれを安全に持ち運べて、いざというときにすぐ取り出せるケースが思いつかない。あれの技を伝えてる人はいないし、実際は放り投げないで、違う使い方をしたのではないかという意見もある。

ともあれ忍者の手裏剣は、世界的にも、あまりにも有名になった。考古学者が「実は穴を掘る道具だった」などと言い出す前に、なんとかあれを使う競技を開発しなければ、世界に対して申し訳がたたないのではないかと思う。
そこで手裏剣道という競技を考えた。これは人と向きあうのではなく、弓道やダーツのような的当て競技である。
まず、図のように、五尺四方程度の板に、「臨兵闘者皆陣列在前」(兵に臨んで闘う者は、皆陣列の前にあれ)の九文字を書いて立てかける。これは密教の呪文といわれていて、室町時代あたりに、戦場に出る武士の間で流行ったものらしい。
術者は的から二間ほどの距離を置いて立ち、十字手裏剣や車剣を放つ。当たった場所の文字を、さらに天と地に分け、判定者が「兵の地なり」「在の天なり」というように宣言をする。中でも「者」、「皆」、「陣」の三文字は、人の正中線にあたるので、点数が高く、さらに「皆」の真ん中に当たればその時点で勝ち。「皆中(かいちゅう)、以って上となす」という訳である。

また、普通の武道と違って忍者の技なので、礼に始まり礼に終わるわけではない。刀で斬りかかると見せかけて投げたり、目潰しと一緒に放るというような、卑怯な投げ方が高く評価される。照明を落とした中で投げる「闇討ち」なども欠かせないだろう。

これをなんとか東京オリンピックまでにでっち上げて、海外からの観光客に見せられたらとおもうのだが。

7 thoughts on “手裏剣道

  • 9月 23, 2018 at 14:47
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    かなり昔ですがそのものずばりの手裏剣道を解説した本を読んだことがあります
    覚えているのは
    手裏剣はたくさん持ち運べない、回収もできない
    従ってどんな状況、体勢でも絶対に命中させる必要がある
    ということで、とにかく如何に的を射抜くかを解説していました
    また、いざというときに代用出来るものも紹介がありました
    もちろん棒手裏剣が正統派で十字などは邪道扱いです
    命中率は上がるけれど、持ち運びに難があるのは本末転倒だと…
    一投必中を追い求めるれっきとした「道」になってましたね

    20年以上前の古書店で見たものなので本の詳細は残念ながらわかりません

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    • 9月 24, 2018 at 07:56
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      実際の手裏剣はマンガや映画のシーンのように、バラまけるほど持ち歩けませんね。分銅鎖も同様で、相手に届くほど長いのを巻き取ると、スイカくらいの鉄球になってしまうでしょう。十字手裏剣もかなり変ですね。懐に忍ばせたものを取り出そうとするたび自分の手に刺さるような気がします。でも、現物が残っているようなので、なにか全く違う用途のものじゃないかとも思います。

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  • 3月 24, 2017 at 05:51
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    意外とテニスや卓球や野球選手が候補としていいんじゃあないでしょうか。大谷君ならボールでも165km/hも出るんですから,手裏剣ならさらに早いんじゃあないでしょうか。200km/hくらい出たら目にも止まらないでしょうね。錦織圭あたりもすごいんじゃあないですか?オリンピックで全く違う2種目で金メダルなんて?。引退後だって続けられそうですね。

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  • 3月 24, 2017 at 05:45
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    スポーツマン・シップとは真逆の競技になりそうですね。「出し抜く」「騙す」「脅す」座頭市みたいな選手が居ればいいですね。島松の居合いの先生を知っていますが,居合い抜きだって,似たようなものですね。彼には叱られそうですが。ところで,競技としてはいいのですが?手裏剣も居合いも,暮らしの中で?何か役に立ちますか?疑問???

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    • 3月 24, 2017 at 08:21
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      真面目に答えると、古武道の道場はそれだけ教えることはなく、体捌きや受け身、呼吸が止まった人に活を入れる方法を習ったりします。昔の侍の妻は、家族が呼吸が止まった時に活を入れて蘇生させたそうです。それにひきかえ、現代人は救急車が来るまでほったらかすの?と言われました。

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  • 3月 24, 2017 at 05:38
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    2020TOKIYOまでにですか?それまでに日本代表忍者を募集して強化しなければ外国勢に負けてしまいそうですね。なにしろ外国の方が忍者に興味深々ですからね。柔道の二の舞にならないよう早急に国会の議題に上げないといけません。森友に時間を割くくらいなら,こちらが先決議題ですね。人脈?森さんでしょう。

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    • 3月 24, 2017 at 08:39
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      「sasuke」という、無茶苦茶なアスレチック番組は、海外でも人気で、アメリカ版もあるそうです。あれも、オリンピック正式種目にすべきですね。

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